2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17208019
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中村 將 University of the Ryukyus, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10101734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 亨 愛媛大学, 南予水産研究センター, 准教授 (30221972)
平井 俊朗 帝京科学大学, 理工学部, 講師 (30238331)
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Keywords | 性分化 / 性決定 / 性転換 / 雌性ホルモン / 雄性ホルモン / アロマターゼ / ステロイド代謝酵素 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
コイ(Cyprinus carpio)遺伝的雌生殖腺における性的可塑性についてさらに研究を行った。孵化後1年の未成熟魚による先の報告を受けて、孵化後2年の卵黄形成初期から中期にある個体に対するアロマターゼ合成阻害剤の投与実験を行い、卵巣縁辺部に部分的な精巣組織の誘導を確認した。さらにこれらの部分的精巣化は卵巣縁辺部に散在する未分化な生殖細胞を含む組織に由来し、この領域に存在する体細胞が性的可塑性を保持していることが「性分化後性転換」の主因であると推察しうる結果を得た。先の未成熟魚による実験ではこのような性的可塑性を保持した組織が生殖腺内に広く分布しており、このことが生殖腺全体の精巣化誘導に結びついたものと考えられる。コイでは孵化後の飼育条件によって個体の成長に著しい差が生じ、それは精巣形成にも大きな影響を及ぼすことが判明した。また、精巣特有の小葉構造の出現とともに潜在的卵巣化能(性的可塑性)が失われることがわかった。 これまでに、芳香化酵素阻害剤によるティラピア成熟雌の卵巣から精巣への性転換過程を調べた結果、部位特異的に開始することが明らかとなった。卵巣構成細胞がどのように精巣構成細胞ヘリクルートされるのかについて、各生殖腺構成細胞に特異的に発現する遺伝子(DMRT1,Foxl2等)を指標として解析した。この性転換課程では、まず、Foxl2の発現低下とともに卵黄蓄積前の卵母細胞の退化が起こる。その後、卵巣薄板の体細胞、ろ胞のtheca細胞および、卵原細胞を取り囲む体細胞でDMRT1の発現誘導が起こった。精巣への分化転換過程を時系列で解析した結果、これらのDMRT1陽性細胞が精巣実質部の構築に参加するが、退化ろ胞の顆粒膜細胞はFoxl2、DMRT1陰性であり、かつ精巣実質部への構築には参加しないことが明らかとなった。
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Research Products
(46 results)