2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブロイラーとレイヤーにおける脳機能の違いの解明とそれを応用した飼養技術の導入
Project/Area Number |
17208023
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
斉藤 昇 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40211924)
平松 浩二 信州大学, 農学部, 助教授 (80238386)
本田 和久 神戸大学, 農学部, 助手 (40335427)
|
Keywords | ブロイラー / レイヤー / ストレス / 摂食行動 / アクアポリン / NPY / チロシンヒドロキラーゼ / プロラクチン放出ペプチド |
Research Abstract |
ブロイラーとレイヤーは、肉生産と卵生産の各方向に改良されたものの、この形質の差がどのような制御に起因しているかは解明されていない。申請者らは最近、両系統の間に、ストレス(絶食・絶水など)に対する感受性や睡眠行動に違いがあることを見いだした。今年度は交付申請書に記載した内容について実験を行い次ぎのような成果を得た. 間脳と脳幹におけるチロシンヒドロキラーゼ(TH)酵素活性の分析系とカテコールアミンとその代謝産物の定量系を確立するとともに,胚時期の視床下部ニューロペプチドY(NPY)の含量はレイヤーヒナでブロイラーヒナより高いものの、孵卵経過に伴う変化は類似することが明らかになった. 新たに性腺刺激ホルモン抑制ホルモンとプロラクチン放出ペプチドに摂食亢進効果を認め、この両者にはカルボキシル末端がRF(アルギニン・フェニルアラニン)アミドという共通性があることを見出した。今後は、この新規摂食亢進因子のブロイラーとレイヤーにおける効果の違いを解明する予定である。 単離ストレスや副腎皮質ホルモン放出因子(CRF)の脳室投与後の行動反応からブロイラーはストレスに対する感受性が低い、CRFを脳室投与に対して、コルチコステロンの分泌も低いことが判明した。脳内のメラトニンはブロイラーで高く、そのメラトニンにはCRFや単離ストレスによるストレス反応を軽減する作用があることが明らかとなった。 絶水処理により浸透圧が上昇した時に、腎臓におけるアクアポリン(AQP)2の遺伝子発現およびも脳のAQP4遺伝子発現も増加したことから、AQP2はニワトリにおいても哺乳類と同様に、腎臓において水の再吸収に関与し、脳のAQP4は浸透圧調節に何らかの関与していることが示唆された。 視床下部領域におけるNPYとTH並びにドーパミンβヒドロキシラーゼ(DBH)、さらにプロラクチン放出ペプチド(PRRP)の局在について、免疫組織化学法により検索を行った結果、NPY-免疫陽性(IR)及びTH-IRニューロンの分布に関してレイヤー(白色レグホン種)とブロイラー(チャンキー種)の間に相違は認められなかった. さらに、両品種の視床下部から抽出したmRNAについて、摂食調節或いはストレス制御に関与するとされている種々の神経ペプチドの発現量の変化について比較検討中である。 ブロイラーとレイヤーの脳機能の違いを解明するための研究成果が得られつつあり、これを基礎に次年度にはさらに両者間の違いを検討する.
|
Research Products
(6 results)