2007 Fiscal Year Annual Research Report
ブロイラーとレイヤーにおける脳機能の違いの解明とそれを応用した飼養技術の導入
Project/Area Number |
17208023
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
菅原 邦生 Utsunomiya University, 農学部, 教授 (50091947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
斎藤 昇 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40211924)
平松 浩二 信州大学, 農学部, 准教授 (80238386)
本田 和久 神戸大学, 農学部, 助教 (40335427)
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Keywords | ブロイラー / レイヤー / 自発運動量 / 熱産生量 / 摂食調節ペプチド / セロトニン / NPY / 名古屋種 |
Research Abstract |
平成19年度は過去2年間に得られた成果に基づいて、脳機能の系統間差の解明を試みた。まず、視床下部腹内側ドーパミンおよびセロトニン代謝速度の系統間差を調べた結果、視床下部腹内側領域のドーパミン作動性およびセロトニン作動性神経活動がブロイラーヒナとレイヤーヒナにおいて異なり、視床下部におけるこれらの神経伝達の阻害または促進が摂食行動を修飾している可能性が示唆された。 ストレス感受性と胚時期の熱産生量が育種選抜に有効か否かについて、名古屋種を用いて検証した。単離ストレス下の自発運動量と甲高い鳴き声は肉用鶏型で低いことが判明した。肉用鶏型胚と卵用鶏型胚の熱産生量は胚発達の期間を通して肉用鶏型胚で低かった。名古屋種で行われている選抜の方向は市販のブロイラーとレイヤーで認められる事実と一致することが分かった。ニワトリの育種選抜にこれらの指標が応用され、これまでより短期間に系統造成が成し遂げられることが期待される。 視床下部内のAVT遺伝子発現に対する調節因子TonEBPの作用をアンチセンスによって解明した。浸透圧刺激(高張食塩水)に対するニワトリAVTの転写調節には、視床下部におけるTonEBPが関与している可能性が大きいことが明らかになったが、c-fosの遺伝子発現は、TonEBPとは別の経路により浸透圧受容体から浸透圧刺激が伝わっている可能性が示唆された。 視床下部のNPYニューロンは、室傍核などの神経核に存在する小型ニューロンに投射していることが推察された。 ブロイラーにおいてはβ-MSH(メラノサイト刺激ホルモン)の摂食抑制作用は認められないこと、及びγ-MSHは摂食に影響を及ぼさないことから、ブロイラーとレイヤーの摂食量の相違は、視床下部POMC(プロオピオメラノコルチン)の発現量の相違に加え、β-MSHの摂食抑制効果の相違に基づくことが示唆された。
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Research Products
(4 results)