2005 Fiscal Year Annual Research Report
水圏生物の核内受容体CARを利用した化学物質のハイスループットリスク評価
Project/Area Number |
17208030
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩田 久人 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
金 恩英 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 客員助教授 (70419513)
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Keywords | 難分解性有機汚染物質 / CAR / 水圏生物 / リスク評価 / 核内レセプター |
Research Abstract |
水圏生物に対する化学物質の影響を正確に把握するためには、種や系特異的な毒性発現および感受性の機構を分子レベルで理解し、適切なバイオマーカーを選択・モニターすることが必要である。そこで本研究では、水圏生物の核内レセプターであるconstitutive androstane receptor (CAR)を利用したリスク評価システムの開発を目的とする。本研究で得られた成果は以下のように要約される。 有機塩素化合物(PCBsやDDTs)のリスクを評価するため、CARの標的遺伝子転写活性化能について、in vitroレポーター遺伝子アッセイを用いて解析した。まずバイカルアザラシ(Pusa sibirica) CARの転写活性化能を測定し、マウスCARとの比較をおこなった。興味深いことに、バイカルアザラシCARの転写活性化能はPCB製剤(Kanechlor500)の処理により20PPm以上で増加したが、マウスCARは活性化されなかった。一方、PCBを各同族体別に処理したところ、PCB153の場合、バイカルアザラシCARの転写活性化能は50ppmで増加したが、マウスCARは反応しなかった。PCB180の場合、バイカルアザラシCARは20ppm以上で活性化されたが、マウスCARは50ppmでのみ活性化された。さらにp, p'-DDT・p, p'-DDEについても検討したが、いずれの場合もバイカルアザラシCARはマウスCARより低濃度で活性化された。以上の結果から、バイカルアザラシCARはPCBsやDDTsなどの有機塩素化合物に対して、マウスよりも敏感であると推察された。
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