2008 Fiscal Year Annual Research Report
水圏生物の核内受容体CARを利用した化学物質のハイスループットリスク評価
Project/Area Number |
17208030
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩田 久人 Ehime University, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10271652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
金 恩英 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, グローバルCOE准教授 (70419513)
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Keywords | 核内レセプター / CAR / 難分解性有機汚染物質 / 水圏生物 / シグナル伝達 / PCB / DDT / リスク評価 |
Research Abstract |
本研究では、CAR-LBDタンパク質と各濃度に調整した化学物質の混合液をアナライトとして用い、アザラシおよびマウスCARとSRC1のタンパク質相互作用に影響する化学物質のスクリーニングをSPR法でおこなった。 バイカルアザラシCARとSRC1のタンパク質相互作用は、CITCO・PCBs・p, p'-DDT・p, p'-DDEの濃度依存的に増加したが、Lithocholic acidでは減少した。マウスCARの場合、Estrone・Clotrimazole・TCPOBOP存在下でSRC1との相互作用は増加したが、Androstanol・Androstenol・Lithocholic acid存在下では濃度依存的に減少した。Estradiol・CITCOに関しては、SRC1との相互作用がわずかに増加した。相互作用の明確な増加が検出された化学物質について、CARとSRC1相互作用の速度論的解析をおこなったところ、バイカルアザラシCARではDMSO添加群と比べPCBs処理群で高い解離定数(K_D)を示した。結合速度定数(ka)はPCBs処理群とDMSO添加群で差がなく、解離速度定数(kd)はPCBs処理群で高値を示したことから、PCBsがバイカルアザラシCARとSRC1相互作用の解離速度に影響していると推察された。一方マウスCARでは、Estrone・TCPOBOP処理でK_Dが増加し、Clotrimazole処理では減少した。Estrone・TCPOBOPの場合、ka・kdともにDMSO添加群と比較して高値を示したことから、これら化学物質は結合・解離の両方に影響すると考えられた。またClotrimazoleでは、DMSO添加群と比べkdがほぼ同様なのに対し、kaが約10倍高く、この物質はCARとSRC1の結合反応に影響することが示唆された。
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