2006 Fiscal Year Annual Research Report
台湾における植民地主義に関する歴史人類学的研究-「日本」認識をめぐって-
Project/Area Number |
17251011
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
植野 弘子 東洋大学, 社会学部, 教授 (40183016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三尾 裕子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20195192)
末成 道男 アジア文化研究所, 客員研究員 (20054570)
五十嵐 真子 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (50330410)
松金 公正 宇都宮大学, 国際学部, 助教授 (50334074)
堀江 俊一 中京女子大学, 人文学部, 助久授 (50190244)
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Keywords | 文化人類学 / 植民地主義 / 歴史人類学 / 台湾 / 日本 / 中華 / 異文化接触 / 歴史認識 |
Research Abstract |
本年度の研究活動は、研究実施計画に基づき、日本語による知識の習得・台湾人の「日本」認識・史跡保存・日本時代の学術研究などに関する現地調査、また関連する文献調査を中心に行われた。本年度の主たる研究活動と成果は以下のようである。 1.日本統治期の日本語による知識の習得について、女性たちの家庭生活、趣味などに関するインタビュー調査を、台北・台南・宜蘭などで行い、統治終了後に及ぼすその影響が多面にわたることについて、資料の蓄積を行った。 2.「日本」と「台湾」に対する台湾の人々の認識について、日本人と台湾人の交流(漁民など)・古蹟の保存と展示(神社跡・日本時代以外の古蹟指定など)、客家のアイデンティティを中心に、台北・新竹・宜蘭・台東などで調査をおこなった。これにより、「日本」と「台湾」の問題を、単なる二者関係ではなく、「中華」・「外省人」・「沖縄」といった視点を加えて、多角的にとらえて分析していくことの重要性が、明確化された。 3.日本統治期の人類学的研究について、その統治政策との関連性、また、統治終了後の人類学研究との継続性について、資料を収集した。 4.日本仏教各宗派の台湾布教に関する史料収集を、日本国内と台湾において行い、真宗大谷派や高野山真言宗について、これまで未整理の台湾布教の史料を収集することができた。 5.原住民の植民地統治への認識について文献収集と現地調査を行い、パスアタイ祭り廃止方針撤回運動などの原住民の植民地経験の資料収集がなされ、原住民の視点から「日本」認識を考察する必要性が確認された。 さらに、研究計画の方向性についても、研究者の間で議論を重ね、「植民地台湾」と「宗主国日本」の関係については、「中華」あるいは「中国」を視角にいれた考察が必要であることが明確化された。来年度から研究者各自がこの点に留意して調査研究を行い、研究会においてさらに議論を深めていくことにした。
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