2007 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアのアンコール王国時代の王道と橋梁と駅舎に関する総合学術調査
Project/Area Number |
17254005
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
片桐 正夫 Nihon University, 理工学部, 教授 (50059515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石澤 良昭 上智大学, 外国語学部, 教授 (10124851)
上野 邦一 奈良女子大学, COE, 特任教授 (70000495)
藁谷 哲也 日本大学, 文理学部, 教授 (30201271)
畔柳 昭雄 日本大学, 理工学部, 教授 (90147687)
重枝 豊 日本大学, 理工学部, 准教授 (30287586)
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Keywords | カンボジア / アンコール王国 / 王道 / 橋梁 / 駅舎 |
Research Abstract |
平成19年度は、アンコール地域(シェムリアップ市)から北西に延びる、東北タイの古都城ピマーイを結ぶ王道沿いの遺構(橋梁、都城、寺院、宿駅、道路の工法など)を中心に、シェムリアップ市からタイ国境までの区間の調査を実施した。このルートは、カンボジア・タイ国境沿いに連なるダンレック山系の裾野地域から産出した鉄鉱石運搬にも関わった可能性があり、アンコールから延びる王道の中でも軍事・交易上、重要度の高いルートであると考えられる。アンコール領土を網羅する王道は、領土の拡大と共に軍事交易路としてジャヤヴァルマンVII世(1181〜1220年在位)治世に整備されているが、宿駅や施療院ではそれ以前の古い時期の工法や形式が確認されており、既存街道の整備が基軸になっているといえる。また、河川付近や湿地帯では、路面を盛り上げて土手状に築造、かつ河川上流側や湿潤な側にしばしばラテライトなどで側石積みの壁が設けられていることから、貯水のための堰堤の役割も担っていたことが考えられる。これらは王国史の解明に資する成果でもある。 調査では地雷原を回避しながら可能な限り王道を辿り、沿道に現存する橋梁、都城、寺院、宿駅、道路を踏査した。それらの建築的データの収集、GPSによる調査を行い、重要とみなした遺構については詳細な実測調査をおこなった。宿駅や施療院はそれぞれ同一の建築構成を示しているが、施工技術などを比較すると、王都近郊から離れるに従い地方では施工精度が低くなっていることが明らかになった。転用材が多用されていることからも、あり合わせの資材を使って短期間で施工されたことが伺える。また、アプサラとタイの共同研究によって行われていた王道の発掘現場から、王道の断面構造を確認することができた。 今年度開催を予定していた国際シンポジウムは来年度10月に見送ったが、開催に向けての調整は進行中である。
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Research Products
(12 results)