2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本と北ユーラシアのウイルス性人獣共通感染症の比較疫学的研究
Project/Area Number |
17255009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高島 郁夫 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30002083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (70224714)
前田 秋彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (70333359)
有川 二郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10142704)
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Keywords | ウエストナイル熱 / ダニ媒介性脳炎 / ハンタウイルス感染症 / 北ユーラシア / 人獣共通感染症 |
Research Abstract |
近年国内外で問題となっているウイルス性人獣共通感染症のうち、侵入または流行の危険性があり、重篤に経過し致死率が高いウエストナイル熱、ダニ媒介性脳炎およびハンタウイルス感染症について診断法を開発し、それらの流行国において疫学調査を実施し、流行地の特定、流行しているウイルスの性状解析、ウイルス感染環の解明を行った。 ウエストナイル熱 : ニワトリ雛にウエストナイルウイルスおよび日本脳炎ウイルスを実験感染させ、経日的に血清を採集して、少容量中和試験による各ウイルス特異的な血清診断法を開発した。この方法を用いて2005年と2006年に極東ロシアで採集した野鳥血清についてウエストナイルウイルスに対する抗体調査を実施したところ、91検体中15検体(16.5%)が特異抗体を保有していたことから、当地の野鳥間におけるウエストナイルウイルスの流行が示唆された。 ダニ媒介性脳炎 : 準ウイルス粒子を用いた野ネズミ用のELISAによるスクリーニングと中和試験による確認により、全国規模の血清疫学調査を実施したところ、島根県の野ネズミ血清58検体中2検体が特異的抗体を保有していた。この成績から北海道以外の地域における本ウイルスの汚染が特定された。 ハンタウイルス感染症 : ロシアボルガ川流域のサマラ市において、野ネズミの疫学調査を行い、145匹の野ネズミを捕獲した。このうち68匹のヨーロッパヤチネズミの6匹が抗体陽性であった。感染ネズミの臓器中のウイルス遺伝子の解析から、流行しているウイルスはPuumala型のハンタウイルスであることを明らかにした。北海道の中川町と当別町の森林でエゾヤチネズミの捕獲調査を行い、ハンタウイルスの野ネズミ間の感染動態の解明を試みた。その結果オスがメスよりもウイルス伝播に重要な役割を果たすことが示唆された
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Research Products
(21 results)