2006 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂飛来にともなう微生物およびその遺伝子の移動に関する環境微生物学的研究
Project/Area Number |
17256001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
那須 正夫 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (90218040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 善一郎 大阪大学, 総合地球環境学研究所・研究部, 教授 (80108456)
本名 俊正 鳥取大学, 農学部, 教授 (90093624)
藤山 英保 鳥取大学, 農学部, 教授 (90108796)
伊藤 徳夫 大阪大学, 大学院薬学研究科, 講師 (60176352)
山口 進康 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (20252702)
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Keywords | 黄砂 / 微生物 / 遺伝子動態 / 環境微生物学 / 分子微生物生態学 / 黄土高原 |
Research Abstract |
微生物の越境移動に関する現状の把握を大目的として,本年度は黄砂の発生源として考えられる中国の乾燥地域より採取した土壌および中国の北京で採取した黄砂に存在する細菌の現存量や多様性を,分子微生物生態学的手法を用いて明らかにするとともに,優占種の系統分類を行った.研究成果を以下にまとめた. 1)黄土高原の地域内で数kmから数十km離れた地点間の細菌群集構造の違いは,数百km離れた地域間での違いよりも大きかった. 2)黄土高原の4地域に共通に存在する細菌種が存在した.また黄土高原の優占種はαプロテオバクテリアであった. 3)16SrRNA遺伝子を指標として解析した結果,黄土高原の土壌中には系統学的に多様な細菌の存在することを明らかにした. 4)黄砂を地上で捕集するためのプロトコールを決定した. 5)2006年春に北京に飛来した黄砂を採取し,黄砂の表面に細菌が付着していることを明らかにするとともに,細菌の現存量を定量的PCR法により明らかにした. 6)黄土高原,ゴビ砂漠,タクラマカン砂漠の細菌群集構造を,16SrRNA遺伝子を指標として解析した.またその結果を黄砂に存在する細菌の群集構造と比較した結果,中国乾燥地域の細菌が黄砂現象により大陸を移動している可能性の高いこと,また黄砂の細菌群集構造は黄砂現象の規模によって大きく変化する可能性のあることを明らかにした. 7)シークエンス解析により,黄砂および中国の乾燥地域に共通して存在している細菌種を明らかにした. 8)黄土高原,ゴビ砂漠,タクラマカン砂漠の土壌および黄砂の元素分析を行った.分析には誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS法)を用いた.
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Research Products
(3 results)