2006 Fiscal Year Annual Research Report
構成的手法による構造化並列プログラミングとその支援環境
Project/Area Number |
17300005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
胡 振江 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教授 (50292769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武市 正人 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10011165)
松崎 公紀 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助手 (30401243)
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Keywords | 情報工学 / ソフトウェア学 / アルゴリズム / ソフトウェア開発効率化、安定化 / 超高速情報処理 |
Research Abstract |
平成18年度では、前年度で「構成的アルゴリズム論に基づく並列計算の構造化」に関して研究して得られた成果を基に、「構造化並列プログラムの設計・最適化」を中心に研究を行った。その主な研究成果は次の通りである。 (1)構造化プログラムの系統的設計法に関する研究成果 構造化並列プログラムの構成に関して、有名な第三準同型定理がある。この定理はある特定の形で定義された逐次プログラムが並列化可能であることを示している。しかし、第三準同型定理はその逐次プログラムに並列処理可能なプログラム定義が存在することを示すのみで、その並列化をどのように自動的に行うかということについては知られていなかった。そこで我々は、第三準同型定理に基づいた自動的な並列化手法を提案した。我々の手法は元の関数の右逆元である右逆関数を用いるものである。その右逆関数を用いることによって、第三準同型定理に基づいた並列化を自動的に行うことができる。また、右逆関数の導出を用いた自動並列化システムの実装を与え、その有効性を示した。本研究成果をプログラミング言語の設計と実装に関して世界で最も権威ある国際会議であるACM PLD1 2007で発表する予定である。 (2)構造化プログラムの最適化手法に関する研究成果 スケルトン並列プログラミングでは、スケルトンという部品を組み合わせることで並列プログラムを容易に作成できる。しかし、単純に組み合わされたスケルトンプログラムは、中間データの作成や通信などのオーバヘッドを生じ効率が悪いことがある。そのため、連続したスケルトンを融合することでオーバヘッドを減らす最適化が研究され、実際にある程度の効率向上が得られている。しかし、既存の融合手法は過度に一般的であり、最適化の効果を得にくい問題のクラスが存在する。そのため、対象クラスを絞った最適化を考える必要がある。我々は、科学計算などでよく見られるある要素の近傍要素を必要とする計算に焦点をあてた最適化手法を提案した。まず対象とする計算を抽象化した標準形を設計し、それからスケルトンプログラムから標準形への変換規則及び標準形の効率的な実装を与えた。本研究成果は国際会議EuroPar 2007で発表する予定である。
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Research Products
(6 results)