Research Abstract |
多様性と収束性のバランスを自動調整するメカニズムを開発するための準備として,代表的な進化型多目的最適化アルゴリズムであるNSGA-IIを多目的ナップサック問題に適用し,目的関数空間内での個体群の広がりとパレートフロントまでの距離の変化を大規模な数値実験により調べた.数値実験により,2目的ナップサック問題に対しては,パレートフロントまでの距離は十分に小さくなるが,パレートフロント全体を完全に近似するような個体群の広がりを得ることは難しいという結果が得られた,一方,4目的ナップサック問題に対しては,個体群の広がりは大きくなるが,パレートフロントまでの距離が小さくならないという結果が得られた,また,3目的ナップサック問題に対しては,2目的の場合と4目的の場合の中間的な結果が得られた. このような数値実験結果に基づき,パレートフロント全体ではなく,パレートフロントの一部に限定した集中的な探索を行う方法を提案した.提案手法では,類似した複数のスカラー適応度関数を目的関数として用いることで,探索領域の限定が行われ,限定された領域内でパレート最適解の探索が効率的に行われる.また,単一目的最適化問題への応用として,与えられた目的関数の周囲に類似した複数の目的関数を生成することで多目的化を行う方法も提案した,本研究における多目的化では,類似した目的関数を用いるために,目的関数の数が増えても収束性の悪化は少ない.また,複数の目的関数を用いているために,単一目的最適化に比較すると多様性が大きくなる.その結果として,局所最適解に陥ることが少なく,大域的最適解の効率的な探索が可能になる. また,識別器の多目的設計問題に進化型多目的最適化アルゴリズムを適用し,非常に複雑で精度の高い識別器から,精度は低いが簡単で分かりやすい識別器まで,多様な識別器が得られることを明らかにした.
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