2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起膜と細胞外電場の相互作用による神経情報処理の実験的解明と数理モデル構築
Project/Area Number |
17300096
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
宮川 博義 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (90166124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 雅司 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (30339098)
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Keywords | ニューロン / 樹状突起 / 細胞外電場 / 電位イメージング / 電気生理学 / 数理モデル / 膜抵抗分布 / 活動電位 |
Research Abstract |
平成17年度の研究計画は直流電場刺激に対する膜電位応答を解析することであった。実験的研究として海馬CA1領域の錐体細胞樹状突起の走行に平行及び垂直に直流電場を負荷し、膜電位感受性色素を用いて光学的観察した膜電位変化を、ホールセル記録法によって単一錐体細胞の細胞体および樹状突起から記録した電位変化と比較した。その結果、光学的に観察した膜電位変化が、錐体細胞の電位変化に起因するものであることを確認することができた。更に電場刺激下に閾値レベルのシナプス刺激を加え、誘起される膜電位変化が電場刺激の強度にどのように依存するかを検討した。その結果、活動電位の発生部位が電場刺激の条件によって移動することを確認することができた。意外なことに後シナプス電位の振幅には顕著な影響は見られなかったが、この点についてはより詳細な検討を進めている。さらに、予備的段階ながら、膜電位感受性色素注入によって単一錐体細胞樹状突起先端部から電場刺激に対する電位応答を記録することに成功した。モデルシミュレーションによる研究では、直流電場刺激による電位応答を実ニューロンの形態に基づいた多コンパートメントモデルによって記述し、パラメータの最適化を行うことによって樹状突起に沿った膜抵抗分布の推定を行うことに成功した。得られた結果は、以前に後シナプス電位の伝播から簡略モデルを用いて推定した分布と定性的に矛盾のないものであった。この成果は学術雑誌に投稿中である。第二段階として交流電場刺激に対する膜電位応答の解析を行う計画であるが、予備的な実験的観察およびモデル構築を開始した。
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