2006 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルを活性化する新規DIX蛋白Ccd1の神経回路形成における役割の解析
Project/Area Number |
17300098
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝 正幸 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝 和子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50344883)
塩見 健輔 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (00311598)
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Keywords | 神経科学 / 発生・分化 / シグナル伝達 / 遺伝子 |
Research Abstract |
Wntは、発生期に体軸形成や分化・誘導を担うシグナル分子であり、神経系では、分化、軸索ガイダンス、シナプス形成において重要な役割を持つ。Wntの情報伝達系は複数存在し、下流の情報伝達経路やその調節機構については不明な点が多い。我々は、Dishevelled(Dvl)とAxinで保存されたDIXドメインを持つ第三の分子としてCcd1(Coiled-coil-DIX1)を単離し、Ccd1がin vitro及びin vivoでWntシグナルを活性化すること、ゼブラフィッシュ胚で神経パターン形成に重要な役割を持つことを報告した。更に、マウスの相同遺伝子を単離し、アクチン結合蛋白質で見られるcalponin homology(CH)ドメインを有する新しいサブタイプ(Ccd1A)が存在することを見出した。本研究では、マウスCcd1蛋白と相互作用する蛋白を解析するとともに、Ccd1サブタイプの発現パターンとその細胞内局在や役割を調べ、Ccd1のWntシグナル伝達における役割を明らかにすることを目的としている。 RT-PCRとノーザンプロットを用いてノックアウトマウスのCcd1を調べたところ、遺伝子破壊によって除去されたエキソンを除いた部分の転写産物が少量検出された。また、これとは別に異常な構造を持つ転写産物も作られていた。従って、遺伝子破壊により、完全な機能喪失型ではなく、partial loss of functionになると考えられた。培養細胞にCcd1AとCcd1B cDNAをトランスフェクションした結果、Ccd1A蛋白とCcd1B蛋白が細胞内で異なる局在を示し、Ccd1Aサブタイプは、アクチン繊維と共局在した。今後、サブタイプ間で異なる機能が存在するかどうかを検討する必要がある。 また、ゼブラフィッシュから新たに単離したCcd2遺伝子には、CHドメインを持つAタイプが存在することが明らかになった。更にモルフォリノオリゴヌクレオチドを微量注入したところ、初期胚で特徴的な形態異常が観察された。今後は、機能阻害胚で各種マーカー遺伝子の発現パターンを精査し、Ccdの発生における役割を明らかにする予定である。
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