2006 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体のシナプスへの移行と活性調節機序
Project/Area Number |
17300099
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 学 新潟大学, 脳研究所, 助手 (10334674)
山崎 真弥 新潟大学, 脳研究所, 助手 (70401768)
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Keywords | コンディショナルノックアウト / グルタミン酸受容体 / AMPA受容体 / シナプス / TARPγ |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体チャネルは、興奮性のシナプス伝達を担うばかりでなく、シナプスの可塑性の鍵を握る分子群である。本研究の目的は、グルタミン酸受容体のシナプスへの移行と活性調節の分子機序を明らかにすることである。我々は、AMPA型グルタミン酸受容体を細胞膜やシナプスアクティブゾーンに集積させる分子として報告されていたカルシウムチャネルγ2サブユニット(Stargazin、TARPγ2)が、AMPA型受容体のチャネル活性を著しく亢進させることを見いだしている。この発見を基に、AMPA型受容体のシナプスへの移行とシナプスでの活性調節の分子機序を明らかにするために、脳に発現するこれらγファミリー、TARPγ2、γ3、γ4、γ7、γ8をそれぞれ欠損したマウスを系統的に作成した。ノックアウトマウスでその特異性を検定した抗TARPγ8抗体を用いて、この分子の発現特性を詳細に検討した結果、この分子は終脳に広く発現し、特に海馬興奮性ニューロンに多いことを見いだした。また、γ8とAMPA型受容体は細胞体樹状突起の表面で共発現することが明らかになった。γ8の欠失によりAMPA受容体は減少するが、これは特に海馬で顕著であった。海馬の中でも減少に差があり、CA1ではシナプス35%(野生型を100%として)、スパインシナプス外で37%、樹状突起シナプス外で36%と大きな低下を示したが、苔状線維-CA3シナプスでは83%であった。また、電気生理学的な解析から、AMPA型受容体のチャネル応答も減少することが明らかになった。海馬CA1シナプスでは52%(野生型を100%として)、シナプス外では25%に減少していた。これらの解析により、TARPγ8は海馬AMPA型受容体の主要な補助的サブユニットであり、シナプスへの移行と活性調節に重要な役割を担うことが明らかになった。
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Research Products
(5 results)