2007 Fiscal Year Annual Research Report
多重情報表現とその相互作用による前頭連合野情報処理機構の解明
Project/Area Number |
17300103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 Kyoto University, こころの未来研究センター, 教授 (00145830)
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Keywords | 前頭連合野 / 眼球運動 / 運動方向の決定 / 遅延期間活動 / 方向選択性 / 競合 / 機能的相互作 |
Research Abstract |
本研究は、思考、判断、意思決定などの高次脳機能に関与し、マルチモーダルな情報処理が不可欠な前頭連合野ニューロン群の活動を指標に、多重情報表現のしくみとその相互作用による情報処理機構を明らかにする目的で実施している。本年度は視覚刺激により予め眼球運動方向が指示されるODR課題と、眼球運動方向を4方向の中から自由に選択できるS-ODR課題を用いて、眼球運動方向の決定がどのようにして行われるのか、どのようなニューロン活動が運動方向の決定にかかわっているのかの検討を中心に研究を実施した。その結果、(1)ODR課題で方向選択性のある遅延期間活動をするニューロンがS-ODR課題における眼球運動方向の決定に最も重要な関与をすること、(2)ODR課題においていろいろな時間パターンの遅延期間活動が観察されているが、ODR課題の遅延期の初期から強い活動を示すものがS-ODR課題での運動方向の決定に重要であること、(3)ODR課題において遅延期間活動の方向選択性の強さの時間変化もニューロンにより異なるが、ODR課題の遅延期の初期から強い方向選択性を示すニューロンがS-ODR課題での運動方向決定に重要であること、が明らかになった。さらに、記録したすべてのニューロン活動をもとに作成したポピュレーション・ヒストグラムによる検討から、S-ODR課題では、視覚刺激呈示期あるいは遅延期の初期に何らかのメカニズムにより眼球運動方向が決定され、その後、決定された運動方向に選択性のある遅延期間活動をもつニューロン群が動員されることにより眼球運動が生じることが明らかとなった。眼球運動方向の決定にはニューロン間の競合などの機能的な相互作用が重要な役割を果たしていることが示唆される。
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