2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17300107
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笹井 芳樹 独立行政法人理化学研究所, 細胞分化・器官発生研究グループ, グループディレクター (20283616)
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Keywords | 神経分化 / 脳発生 / 前脳 / 中脳 / Sal / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究では中枢神経系の前後軸のパターン形成の分子機構を解明するため、Znフィンガー型転写因子XsalFおよびその関連遺伝子ネットワークの前脳・中脳発生における役割について、研究を行ってきた。 XsalFは両生類の中枢神経系の吻側の領域決定因子であるが、一方、ショウジョウバエのホモローグであるSalはハエの頭部のセグメントの決定因子である。一方、カエルでのXsalF機能阻害は吻側の神経組織を欠落させ、その代わりにより尾側の神経領域が異所性に形成する。ハエではSalの変異体は頭部のセグメントが胸部のセグメントの性格を有するようになる。この点から我々はTsh(T-shirt)遺伝子に注目した。Tshはハエにおいて、XsalFとは反対に、尾側のセグメントのアイデンティティーを決定し、Sal-Tshのセットは頭部・胸部の境界決定に重要な役割を果たしていると考えられる。 マウスなどでの解析から脊椎動物でもTshホモローグが複数存在していることが示唆されているが、Salとの関係はもちろん、その初期胚での役割も不明であった。我々はアフリカツメガエルでのTshホモローグを完全長で単離し、吻尾軸形成での発現パターンを詳細に検討した。すると、Tshの2つホモローグがカエル胚(尾芽胚)の尾側中枢神経系に特異的に発現し、頭部中枢神経系組織に発現するXsalFと対照的であった。微量注入法により、TshとXsalFの上流・下流制御関係について詳細に解析したところ、互いにその遺伝子発現を抑制しあうことが明らかになった。Tshの発生過程での生物学的役割を詳細に解明するために必要である、ドミナントネガティブ体を作成することにも成功した。
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Research Products
(5 results)