2007 Fiscal Year Annual Research Report
短期記憶から長期記憶への変換に関わるシナプス構造可塑性の誘導過程
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17300118
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
塩坂 貞夫 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (90127233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 保幸 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90346320)
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Keywords | ectodomain shedding / セリンプロテアーゼ / ニューロプシン / 神経可塑性 / 記憶・学習 / 細胞接着分子 / Llcam / long-term potentiation |
Research Abstract |
なぜ記憶されるのか?なぜ関連する事象は覚えやすいのか?記憶の分子メカニズムは未だ明確でない。これらを明らかにするため我々は短期記憶から長期記憶への変換に関わるシナプス構造可塑性を検討した。神経可塑性プロテアーゼ・ニューロプシン(KLK8)がNMDA受容体の活性化後数分というきわめて短時間で蛋白分解活性が数百倍に上昇し、これによって海馬プレシナプスに存在する細胞接着分子Llcamを限定分解することを見いだした。そのKO動物では最初期LTPが消失し、その行動試験においても記憶の獲得に関与することが明らかとなった。本研究では(1)ニューロプシンから接着分子L1のectodomain sheddingに至る経路の探索、(2)活性型ニューロプシン添加によって起こるE-LTPからL-LTPへの変換に関係する受容体、チャネル、シグナル分子群の探索について検討した。 ニューロプシンによってsheddingされる分子フィブロネクチン、L1camを特定し、短期記憶から長期記憶への変換に関わる分子としてインテグリン、Voltage-dependent calcium channelを同定した。この過程は関連記憶のための特定シナプスの標識するためにとくに重要と考えられ、タギング仮説と呼ばれている。本研究は世界で初めてニューロプシンがタギングの分子マーカーであることを示したものである。
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