2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるCdk5の活性制御と機能制御に関する研究
Project/Area Number |
17300119
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久永 眞市 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (20181092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 太郎 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (70301413)
浅田 明子 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (00336512)
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Keywords | 脳・神経 / 酵素 / シグナル伝達 / 蛋白質 / リン酸化 / 分解 / 細胞膜 / アルツハイマー |
Research Abstract |
Cdk5は分化した神経細胞で活性を示す特異なサイクリン依存性キナーゼ(Cdks)である。細胞分裂促進因子であるはずのCdkが、分裂しない神経細胞でどのような機能を果たしているのか、どのように活性が調節されているのか興味深い問題である。Cdk5は脳形成時の神経細胞の移動、シナプス活動や老化に伴う神経疾患との関連が示され、神経細胞の一生に亘って機能する重要なキナーゼの一つである。しかし、それぞれの機能に伴う活性制御やその作用機作については殆ど判っていない。本研究では、以下の3つの新規なCdk5活性制御系について検討した。(1)グルタミン酸によるCdk5/p35の不活性化とその役割、(2)p35のミリストイル化を介した膜への結合と活性化、(3)p35のカルパインによる限定分解に関わるリン酸か部位の同定、である。 (1)培養神経細胞を用いて、グルタミン酸によるp35の分解が後シナプス領域でおこっていること、p35の分解とCa-Calmodulin依存性キナーゼII(Ca/CaMKII)の活性化(自己リン酸か)と同じような時間経過をとることが観察された。単離後シナプス分画を用いて、Cdk5活性の抑制がCa/CaMKIIの活性化を促進することが示された。 (2)Cdk5-p35はゴルジ体や細胞膜に結合して存在していた。膜結合にはp35のミリスチン酸化だけで十分であった。ミリスチル酸化できないようにすると核内に移行した。膜への結合は活性を抑制した。 (3)p35の培養細胞内におけるリン酸化部位、Ser8とThr138を同定した。いずれのリン酸化もカルパインによる限定分解を抑制したが、特にThr138のリン酸化は加齢とともに減少し、成熟した神経細胞での限定分解に関与している可能性が高いことが示された。
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