2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンの生死を決定するニューロトロフィンのプロセシング調節機構の解明
Project/Area Number |
17300120
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野元 裕 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (80164747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福光 秀文 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (00308280)
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
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Keywords | ニューロトロフィン / プロセシング / NGF / BDNF / 分泌 / プロペプチド / 糖鎖 / オートクライン |
Research Abstract |
NGFやBDNFなどのニューロトロフィン(NT)は、成熟体か前駆体かにより、神経栄養作用と細胞死の誘導という相反する作用を持つ。したがって、前駆体から成熟体へのプロセシングはニューロンの生死を決定する重要なステップであり、その制御機構を明らかにすべく以下について検討した。 1.NTのプロセシングの効率を決定する部位 プロセシングや分泌の挙動が異なるNGF、BDNF、GDNFの配列の一部を互いに置換した分子を発現した結果、プロペプチドの配列に依存して挙動が大きく異なることが明らかとなった。さらに、プロペプチドをさらに分割して検討したところ、その後半部の影響がとくに強いことがわかった。 2.NTのプロセシング効率の決定に関与する細胞内タンパク質の検索 種々のNTと相互作用する細胞内タンパク質を共沈法やクロスリンク法で検討したが、再現性のある結果は得られていない。今後、1.で明らかとなった特異的配列を用いてアフィニティークロマトなどの手法を検討する。 3.proNGFの高感度な測定系の開発 前駆体NTの分泌は神経疾患との相関が高いと考えられるので、体液中のproNGF量と病態との関連を明らかにするため、抗原となる非切断型proNGFを昆虫細胞で大量調製した。今後、それに対する特異抗体を作製し、高感度なproNGFの酵素免疫測定法を確立する。 4.NGFのプロセシングにおける糖鎖の役割 NGFの前駆体に存在する糖鎖を除くとそのプロセシングや分泌が低下することを見出した。そこで、糖鎖の結合部位の影響や、糖鎖をもたないNGFの代謝について検討している。 5.NGFの細胞内での作用 NGFを細胞内に留めると、細胞死を誘導することを見出した。これは、NGF、特にその前駆体が細胞内で受容体と相互作用していることを示しており、オートクライン系の新規な知見である。今後、NGFの細胞内作用の詳細を明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)