2006 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞の可塑性によるシナプス可塑性制御に関する研究
Project/Area Number |
17300124
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小泉 修一 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (10280752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 聡子 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 研究員 (20274954)
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Keywords | アストロサイト / ミクログリア / P2受容体 / UTP / ATP |
Research Abstract |
『脳の可塑性』がグリア細胞の可塑性変化に起因する可能性を明らかにするために、グリア細胞であるアストロサイト及びミクログリアのATP及びUTPによる機能変化及びニューロンとの機能連関について検討した。脳の炎症を再現するために、リポポリサッカライド(LPS)でアストロサイトを刺激したところ、アストロサイトは反応性アストロサイトに変化し、グリア伝達物質受容体として中心的役割を果たすATP受容体のサブクラス、P2Y2及びP2Y6受容体の発現及び機能を亢進させた。アストロサイトのP2Y6受容体は通常ではほとんど発現していないが、炎症等の傷害時には発現し、何らかの病態とリンクしている可能性が示唆された。アストロサイトのP2Y6受容体の病態生理学的役割を検討したところ、アストロサイトのP2Y6受容体刺激により細胞外小物質及び水分を取り込むピノサイトーシス(飲食作用)等、エンドサイトーシス能が亢進することが明らかとなった。従って、炎症時に発生した種々の有害物質をアストロサイトが積極的に取り込んで除去することにより、脳内の恒常性及び脳内環境の整備が行われている可能性が示唆された。一方、ミクログリアは積極的に貧食作用を呈するプロフェッショナルファゴサイト(専門貧食細胞)として知られているが、このP2Y6受容体刺激はミクログリア細胞の貧食能を亢進した。アストロサイトはATP等の細胞外ヌクレオチドをグリア伝達物質とし、グリア細胞間及びグリア-神経細胞間でコミュニケーションを図るが、LPS炎症時には、特にP2Y6受容体の発現を亢進させることにより、細胞外環境を整え、脳機能を正常に戻すことにより、シナプス伝達及び神経活動の維持・調整に強く関わっている可能性が示唆された。
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[Journal Article] UDP acting at P2Y6 receptors is a mediator of microglial phagocytosis.
Author(s)
Koizumi, S., Shigemoto-Mogami, Y., Nasu-Tada, K., Shinozaki, Y., Ohsawa, K., Tsuda, K., Joshi, B.V., Jacobson, K.A., Kohsaka, S., Inoue, K.
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Journal Title
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