2007 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞の可塑性によるシナプス可塑性制御に関する研究
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17300124
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小泉 修一 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (10280752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 聡子 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 研究員 (20274954)
藤下 加代子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (10443102)
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Keywords | アストロサイト / ATP / アセチルコリンM1受容体 / グリア-神経細胞連関 / 海馬 |
Research Abstract |
アストロサイトの変化がシナプスの可塑性に与える影響を明らかにする目的から、グリア伝達物質ATPが海馬神経細胞のムスカリン様アセチルコリン受容体(M1-ACh)発現に与える影響を検討した。アストロサイト由来ATPは、海馬神経細胞のP2Yl受容体に作用して、細胞内Ca^<2+>上昇を引き起こす。このとき、約50%のP2Yl受容体発現神経細胞にはM1-AChが共発現していることが明らかとなった。ATP及びADPにより海馬神経細胞のP2Yl受容体を刺激すると、P2Y1受容体依存的にM1-AChの発現が充進した。アストロサイトは恒常的にATPを放出することにより、周辺細胞とP2Y1受容体を介して連絡を取っている。従って、P2YI受容体依存的なM1-ACh受容体発現が、アストロサイトのグリア伝達物質ATPの基礎遊離に起因しているか否かを検討した。P2Y1受容体拮抗薬単独処置によりM1-AChの発現が低下したことから、Ml-AChはtonicregulationを受けていることが示唆された。また、この現象は神程・アストロサイト共培養系のみで認められ、神経細胞のみの系では観察されなかったことから、M1-AChのtonic regulationのメカニズムにアストロサイトからのATP基礎遊離が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。申請者らは以前、アストロサイト由来ATPが海馬シナプス伝達をダイナミックに制御することを示した。本研究結果は、アストロサイトが即時的応答だけでなく、神経伝達物質受容体発現を長期にわたり制御することにより、シナプス可塑性に強い影響を与えることを示唆するものである。
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[Journal Article] Retinoic acids acting through retinoid receptors protect hippocampal neurons from oxygen-glucose deprivation-mediated cell death by inhibition of c-Jun-N-terminal kinase and p38 mitogen-activated protein kinase.2007
Author(s)
Shinozaki, Y., Sato, Y., Koizumi, S., Ohno, Y., Nagao, T. and Inoue, K.
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Journal Title
Neuroscience 147
Pages: 153-163
Peer Reviewed
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[Book] 細胞2008
Author(s)
小泉 修一
Total Pages
16
Publisher
ATPを介したグリア・ニューロン相互作用