2006 Fiscal Year Annual Research Report
海馬苔状線維シナプスにおけるグルタミン酸・GABA共放出仮説の検討
Project/Area Number |
17300125
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 温之 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (10194979)
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Keywords | 海馬 / シナプス伝達 / グルタミン酸 / GABA |
Research Abstract |
海馬CA3野苔状線維シナプスでは、興奮性伝達物質であるグルタミン酸に加えて抑制性伝達物質のGABAが放出される可能性が示され注目を集めている。我々はこれまでに、苔状線維刺激により"単シナプス性GABA作動性IPSC"が記録される際の条件について検討し、これが強い刺激を用いた場合にのみ生じることから、苔状線維以外(おそらく抑制性介在ニューロン)の応答の混入によるアーチファクトである可能性が強いことを昨年度の本研究で報告した。本年度は、この点についてさらに検討を進めた。苔状線維終末部にはII群代謝型グルタミン酸受容体(group II mGluRs)が特異的に存在し、アゴニストであるDCG-IVの投与によりこれを活性化すると、苔状線維応答が選択的に遮断されることが知られている。そこで、苔状線維の弱い刺激による応答と強い刺激による応答がDCG-rvにより抑制されるかについて調べた。生後2ないし3週のマウスおよびラット海馬スライス標本において、歯状回顆粒細胞層の刺激により生じる応答をCA3野ニューロンからホールセルクランプ法により記録し、同一の刺激電極から強い刺激と弱い刺激を交互に与え、DCG-IVの効果を比較した。弱い刺激によるシナプス応答はDCG-IV(1μM)の投与によりほぼ消失したのに対し、強い刺激に対する応答は大部分が残存し、この成分はグルタミン酸受容体阻害薬CNQx(10μM)およびAP5(25μM)の投与により大きく減弱し、GABA_A受容体阻害薬picrotoxin(100μM)の投与により消失した。弱い刺激では苔状線維のみを、強い刺激では苔状線維以外に他の興奮性ないし抑制性入力を刺激したものと考えられた。
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Research Products
(4 results)