2006 Fiscal Year Annual Research Report
血行力学因子がもたらす脳血管の病的リモデリングと動脈瘤成長メカニズムの解明
Project/Area Number |
17300138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 成生 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (70240546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 浩 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教授 (00263228)
坪田 健一 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (10344045)
山口 隆美 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (30101843)
高橋 明 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40301048)
中村 匡徳 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助手 (20448046)
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Keywords | 計算バイオメカニクス / 血流 / 脳血管 / リモデリング / 動脈瘤 / 成長 / 血栓 / 血流計測 |
Research Abstract |
血行力学因子に対する血管壁のリモデリングを統合させた計算力学シミュレーションにより,脳血管に発症した動脈瘤が拡大進行していく様子を再現するために,血管壁に作用させるリモデリングモデルについて検討を行った.ここでは,血管壁の成長によって血管が能動的に拡張した場合を想定し,その結果として生じる血管形状の変化をコンピュータシミュレーションで調べた.コンピュータシミュレーションでは,座屈を伴う血管壁の大変形を表現するために,血管壁の面内変形に対しては弾性体モデル,曲げ変形に対しては離散バネモデルで表すハイブリッドモデルを採用した.ここでは,脳血管の湾曲部を想定して解析領域を微小な三角形要素に分割し,生理的な一定血圧を負荷した状態で,血管壁の一部が等方的に成長する場合,軸方向または周方向に異方的に成長する場合について解析を行った.その結果,起始部にくびれを有する嚢状動脈瘤が形成されるためには,血管壁の周方向の拡張だけでなく,軸方向の能動的な拡張が必須であることがわかった.一方,こうした力学的負荷に対する血管壁のリモデリングを生じさせる細胞レベルの特性を実験的に明らかにするために,血管平滑筋細胞の骨格構造と力学特性との関係について調べた.ここでは原子間力顕微鏡を用いて,細胞骨格の一つである微小管を薬剤処理によって破壊した場合の平滑筋細胞の形態観察と局所的スティフネスの計測を行った.その結果,細胞内部への力学的刺激の伝達には,アクチンフイラメントだけでなく微小管も重要な役割を果たしており,各種細胞骨格の力学的バランスにより細胞内の力学状態が保たれていることが明らかとなった.
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