2007 Fiscal Year Annual Research Report
血行力学因子がもたらす脳血管の病的リモデリングと動脈瘤成長メカニズムの解明
Project/Area Number |
17300138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 成生 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (70240546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 浩 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (00263228)
中村 匡徳 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任准教授 (20448046)
坪田 健一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10344045)
山口 隆美 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30101843)
高橋 明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40301048)
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Keywords | 計算バイオメカニクス / 血流 / 脳血管 / リモデリング / 動脈瘤 / 成長 / 血栓 / 血流計測 |
Research Abstract |
複雑な血流ダイナミクスとそれに対する血管壁の生物学的応答を統合する計算力学的アプローチにより,動脈瘤の形成過程の再現を試みた.血行力学因子による血管壁の組織構造の変化は,血管壁の材料特性を変化させるだけでなく,局所的な血管壁の拡張あるいは成長を引き起こすことから,本年度はこの両者が血管形状の変化に及ぼす影響について詳細に検討した.その結果,嚢状動脈瘤の形成には局所的な血管壁の材料特性の変化だけでなく,永久変形を伴う血管壁の拡張や成長が必要不可欠であることを示した.また,こうして形成された動脈瘤は血管内圧を除去しても残存することから,in vivoの状態で計測された動脈瘤の形状と,摘出された動脈瘤の形状から,動脈瘤の形成にともなう血管壁の拡張および成長の程度を分析できることを示した.また,画像計測により得られた実形状の動脈モデルに,血管壁の病的リモデリングモデルを適用し,動脈瘤の成長過程の再現を試みた.その結果,初期形状における高壁せん断応力部位を局所的に成長させ続けると嚢状動脈瘤が形成されるが,実際に動脈瘤が観察される部位と異なる場合があることがわかった.このことから,経時的に変化する血管形状の変化を考慮した解析が必要であることがわかり,そのための解析コードを開発した.さらに,シミュレーションにより推測された血行力学因子に対する血管構成細胞の応答を調べるための細胞力学実験を行い,細胞骨格が細胞の力学特性やリモデリングに重要な役割を果たしていることを明らかにした.
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