Research Abstract |
本研究は,多用途無拘束(携帯型)循環動態連続計測・自律神経活動解析システムに関する発展的研究であり,計測原理として,血圧計測に容積補償法,心拍出量計測に電気的アドミタンス法を用い,両者を併用して,非侵襲的に一心拍毎の血圧・心拍出量を含む循環動態計測が可能なシステムを利用し,生体ストレスを循環動態反応から評価を試みたものである.これら循環動態情報は,自律神経系の支配を受けているため,計測値に対して周波数解析などを行うことで,自律神経活動の評価・解析も可能となるシステムである.このことを利用して,種々の生体ストレスに対する循環反応の評価・解析を行うと共に,生体ストレスに対する循環動態反応の緩和手法として呼吸療法に着目し,振動モータを用いた呼吸周期の小型誘導デバイスの開発・評価についても検討を行っている. 本年度は,急性ストレス負荷時の循環動態反応及び呼吸療法による循環動態反応の緩和効果に関する実験的検討を行った.健常成人(23〜34歳)を対象とし,代表的ストレスとして能動的対処を要する暗算と受動的対処を要する寒冷負荷を用いた.実験手順としては,安静状態のベースライン計測後,ストレス(暗算あるいは寒冷負荷)を負荷し,再度安静状態を計測した.また,呼吸療法の急性ストレス反応緩和効果を検討するため,ストレス負荷時に呼吸調節(6回/分)を行った場合についても同様の計測を行った.結果として,暗算,寒冷負荷ともに呼吸調節を行うことによって循環動態変化量は減少し,呼吸療法のストレス反応緩和効果が確認され,特に呼吸療法が寒冷負荷のような受動的対処を要する急性ストレスに対してより効果を示すことが確認された.今後,本システムを用いて,日常生活下の様々な要因によるストレス反応を長期間かつリアルタイムに緩和することにより,ストレスなどによる高血圧症や循環器疾患の予防・緩和効果について検討を進める予定である.
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