2006 Fiscal Year Annual Research Report
マルチアーム型PEG-ポリ乳酸共重合体の分解性ソフトバイオマテリアルとしての応用
Project/Area Number |
17300163
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大内 辰郎 関西大学, 工学部, 教授 (60067650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助教授 (10213886)
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Keywords | ポリ乳酸 / マルチアーム / ポリエチレングリコール / 分岐ブロック共重合体 / 力学物性 / 生分解性 / 吸水性 / ソフト医用材料 |
Research Abstract |
外科的手術の後一定期間癒着を防ぎ,その後分解・吸収され消失する優れた癒着防止剤の開発が切望されている。柔軟性と粘り強さなどの力学的特性を有し,軟組織適合性を有する新規な生分解性ソフトバイオマテリアルを開発することを最終目的として,平成18年度においては,8本の分岐構造を持つマルチアーム型ポリエチレングリコール(8-arms PEG)とポリ-L-乳酸(PLLA)から成る両親媒性の星型ブロック共重合体(8arms PEG-b-PLLA)を合成し,クロロホルム溶液からキャスト法によりフィルムを調製し,直鎖型2arms PEG-b-PLLAフィルムをコントロールとして,その血漿タンパク質吸着量,繊維芽細胞接着挙動,抗血液凝固性,血小板粘着性を評価した。血漿タンパク質として細胞接着因子を有するフィブロネクチンを用い,フィルム表面への吸着試験を行った結果,同じ組成の直鎖型2arms PEG-b-PLLAフィルムに比べて,分岐型8arms PEG-b-PLLAフィルム表面へのフィブロネクチン吸着量は低下し,さらにPEG含有率の大きい8arms PEG-b-PLLAフィルム表面にはほとんど吸着しないことも分かった。フィブロネクチン吸着量が低い8arms PEG-b-PLLAフィルム表面でのL929繊維芽細胞の接着数は少なく,繊維芽細胞の接着を効果的に抑制することが確認された。またフィルムのin vitro血液凝固試験を行った結果,PEG含有率の大きい8arms PEG-b-PLLAフィルム表面では血液は全く凝固せず,高い抗凝固活性を示す素材であるという知見を得た。今回合成した両親媒性の星型8arms PEG-b-PLLAフィルムはタンパク質,細胞,血液などの生体成分に対してイナートな表面特性を示し,分解吸収型の組織非接着性ソフトバイオマテリアルとして興味深い素材であると言うことができる。
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Research Products
(5 results)