2007 Fiscal Year Annual Research Report
超音波エネルギーを併用したヒト固形癌に対する血管新生抑制療法の確立
Project/Area Number |
17300178
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
江本 精 Fukuoka University, 医学部, 准教授 (80258540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40271605)
堀内 新司 福岡大学, 医学部, 助教 (70360302)
|
Keywords | 超音波 / 血管新生 / 血管新生阻害 / 癌治療 / 分子標的 / 抗腫瘍効果 / ドラッグ・デリバリー・システム / 肉腫 |
Research Abstract |
我々は超音波の抗腫瘍効果,特に腫瘍血管新生の抑制効果についてマウス移植系を用いて報告を行ってきたが,超音波の血管新生(angiogenesis)に対する直接的な影響に関しては不明である。今年度は,昨年度に引き続き超音波の管腔形成に与える影響と薬剤作用増強効果についてinvitroで追求し,さらにinvivoで同効果についての検討を行った。ヒト臍帯静脈内皮細胞と正常ヒト皮膚繊維芽細胞のCo-Culture Modelを用いて,超音波照射群,薬剤投与群,超音波照射、薬剤投与併用群,対照群を設定して,VEGF誘導下の管腔形成に与える影響を調べた。超音波機器はSonitron2000(Richmar,USA)を用いた。薬剤は血管新生阻害剤であるフマジリン誘導体2種,サリドマイド及び抗腫瘍剤である5-DFUR,パクリタキセル,Carboplatinを使用した。管腔形成能の評価はPCにて画像処理を行い定量的に検討した。結果は,1)超音波は低出力(1MHz,1.OW/cm2)の条件下では,短時間照射は管腔形成を維持または促進する可能性を示したが,照射時間の延長とともに管腔形成を抑制した。2)超音波照射、フマジリン誘導体投与併用群は,薬剤単独投与群に比較して有意に管腔形成抑制効果を示した。3)抗腫瘍剤である5-DFURとパクリタキセルは,共に低濃度下で管腔形成抑制効果を示すことが確認された。4)フマジリン誘導体と5-DFURまたはパクリタキセル併用群は相乗効果を示したが,Carboplatin併用例の相乗効果は有意ではなかった。結論として,抗腫瘍剤の血管新生阻害作用が新たに確証された。さらに,超音波の血管新生阻害に関する薬剤(血管新生阻害剤及び抗腫瘍剤)作用増強効果がin vivoにおいても示唆され,今後の臨床試験の導入において有益な基礎研究と成り得た。
|
Research Products
(3 results)