2006 Fiscal Year Annual Research Report
筋タンパク質合成機構に対するアミノ酸投与と運動の効果に関する研究
Project/Area Number |
17300208
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30162738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 太郎 中京女子大学, 健康科学部, 教授 (10252305)
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Keywords | 分岐鎖アミノ酸 / 筋肉痛 / スクワット運動 / サプリメント / タンパク質合成 / 培養骨格筋細胞 / 分岐鎖アミノ酸代謝 / siRNA |
Research Abstract |
分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、筋タンパク質の必須アミノ酸の約35%、食事タンパク質の必須アミノ酸の40〜50%もの多くを占めるアミノ酸である。BCAAは、タンパク質中の含量が高いこともあって、運動などによりエネルギー代謝が亢進した場合には比較的多く酸化分解されることが知られている。その他に、ロイシンについては、インスリンの分泌を刺激する作用、およびタンパク質合成を促進し同時にタンパク質分解を抑制する作用が知られている。このように、BCAAは必須アミノ酸であると同時に多様な生理作用を持つことが知られている。 現在、BCAAの生理作用の一つとして運動による筋肉痛や筋損傷に対する効果に多くの関心が注がれている。我々は、非鍛錬女子学生12名を2群に分け、二重盲検クロスオーバー法で被検者に5gのBCAA(Leu:Ile:Val=2.3:1:1.2)入り飲料あるいは等カロリー対照飲料200mLを摂取させ、その15分後にスクワット運動を負荷し、その翌日以降に大腿部骨格筋に発生する筋肉痛に対する効果を検討した。その結果、BCAAを運動前に摂取させることにより、筋肉痛が有意に減少することが認められた。この現象に伴って、BCAA摂取により運動後の血清ミオグロビン濃度の上昇が抑制されたことより、BCAA摂取は運動による筋損傷を抑制することが明らかとなった。さらに、運動2日後に測定された脚伸展筋力は、コントロール実験では減少するがBCAA摂取により減少しないことも認められた。これらの所見は、分岐鎖アミノ酸がスポーツに関連するサプリメントとして有用であることを示唆している。 さらに、骨格筋由来の培養細胞のBCAA分解系酵素発現をsiRNA法により変動させる実験において、BCAA代謝が促進される条件ではタンパク質合成が低下することを示唆する知見を得た。すなわち、BCAAがタンパク質合成を調節する重要な因子として作用することを支持する所見である。
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Research Products
(1 results)