2005 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者に対する認知機能障害改善・評価システムの構築
Project/Area Number |
17300219
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡村 仁 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (40311419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 寛二 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (90165788)
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Keywords | 認知機能 / 痴呆(認知症) / 速度フィードバック / エルゴメーター / 高次脳機能 / 脳活動 / HDS-R / MMSE |
Research Abstract |
(1)認知機能障害改善システムの有効性に関する臨床的検討 対照群10名と実験群17名で長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)が20点以下の痴呆性高齢者を対象とし、実験群に対しては通常のエルゴメーター駆動に加え、今回考案した速度フィードバック療法システムを用い、パソコン画面に基準軌跡を表示し、その軌跡に沿うように追視しながらエルゴメーターを駆動させた。評価にあたっては、介入前後でHDS-RとMini-Mental State Examination(MMSE)を実施した。注意力は速度フィードバック療法で得られた積分値の変化で評価した。その結果、対照群ではHDS-R、MMSEとも介入前後で有意な得点の変化は認められなかったが、実験群ではHDS-R、MMSEとも介入後は介入前より有意に得点が上昇していた。積分値(注意力)においても有意な変化が認められたことから、本法によって注意力が改善し、その結果として認知機能障害の改善が導かれた可能性が示唆された。 (2)高次脳機能評価システムおよび脳活動記録システムの開発 精神的活動ならびに聴覚刺激に対する脳前頭葉の活動状態を直接的に調べるために、近赤外線酸素モニタ装置を用いて脳局所の酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの濃度をリアルタイムで計測した。その結果、記憶想起や暗算ストレスで前頭葉血流量は増加し、聴覚刺激音では好みの音楽(FM)音においてのみ前頭葉血流量が有意に低下した。精神的活動や聴覚刺激に対する応答の何れにおいても、左前頭葉血流量変化は右前頭葉血流量に比べ大きかった。以上、本研究で開発した脳血流量変化を介して脳活動状態をリアルタイムで捉える実験システムは、脳機能を評価するのに有効に利用できることが示された。 以上の結果を発展させ、来年度は臨床的ならびに脳科学・生理学的知見に基づいた認知機能障害改善・評価システムを作成したい。
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