Research Abstract |
研究の目的:本研究では,身体活動の低下モデルとして非利き手側の前腕固定を用い,不動化に伴う筋量低下,筋代謝能低下,血管径,内皮機能および血流の低下の程度を定量化し,各種運動トレーニングがこれら指標の低下(悪化)予防に有効か否かについて検討した。 研究の成果:被検者として,健常成人男性20名を対象として,21日間の上肢ギプス固定を行った。ギプス固定期間中に,トレーニングを行わない群(NT),筋力トレーニング群(ST),持久トレーニング群(ET),筋力および持久トレーニング群(ST+ET)を設けた。倫理委員会の審査後,被検者には本研究の方法や意義を十分に説明したうえで、研究の協力および匿名でのデータ公表に関する同意を文書で得た。 持久トレーニング方法は,動的グリップ運動をギプス固定前の最大随意収縮力の30%(30%MVC)強度で1秒に1回の頻度で疲労困憊まで行わせた。筋力トレーニング方法は,週2回の頻度で70%MVCのグリップ運動を10回行わせた。トレーニングは,週2回の頻度で一時的にギプス固定を解除して行った。 測定指標として,最大随意収縮力(MVC),30%MVC強度の1秒に1回の頻度での動的グリップ運動の持続時間(Endurance),運動後上腕動脈血流量の最大値(BFmax)を測定する。各指標の測定は,ギプス固定前と,ギプス固定後の2回施行した。測定の結果,MVC,Endurance,BFmaxは共にギプス固定により低下し,ST+ETによりその低下が抑制できた。以上の結果から不動化に伴う筋機能の低下は,本研究で用いた筋力および持久トレーニングにより回復することが判明した。
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