Research Abstract |
不均一温熱が睡眠に及ぼす影響を明らかにするために,以下の睡眠実験と実生活場面における睡眠調査実験を実施した。 (1)人工気候室における睡眠実験 夏期に,被験者に高齢者女子10名を採用し,就寝前3時間から快適に温湿度制御された人工気候室に入室してセンサや電極の装着などをしてもらい,10時半前後から8時間就寝してもらった、計測項目は,深部温(直腸温,鼓膜温など),皮膚温10点(前額など),胸部や足部の寝床内温度湿度,発汗などの体温調節反応や睡眠脳波についても連続計測した。また,就寝前後で睡眠感や温冷感など主観申告を収集した。就寝時の温熱環境は,気温26℃相対湿度50%,同32℃50%,26℃50%から就寝1時間後から気温が3℃低下,または,26℃50%から就寝1時間後から気温が3℃上昇する条件の4条件を設定した。26℃一定の場合と比較して,32℃の場合は発汗量が多く,睡眠効率は低下した。3℃低下と3℃上昇は,深部体温の最低点を前進もしくは後退させる影響が伺えた。今後さらに,睡眠脳波や主観申告についての解析を進めるとともに,総合的な影響について検討する。 (2)実生活場面における睡眠計測 公的高齢者施設居住の高齢者14名(男6名,女8名)を対象に,四季について周囲温熱環境の実測調査と,アクチグラフを装着して生活してもらい,就寝前後のアンケート調査ならびに着衣量や温冷感についての申告を収集した。過去の戸建て住宅居住の高齢者の温熱環境に比べて,温度変化は少なかった。アクチグラフから導かれた睡眠効率ついては,四季による差が認められなかった。今後,睡眠と温湿度環境との関連について解析をする予定であり,季節による違いを明らかにする。
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