2005 Fiscal Year Annual Research Report
匂い成分による風味向上メカニズムの分子レベルでの解析と調理・加工への応用
Project/Area Number |
17300235
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
久保田 紀久枝 お茶の水女子大学, 理事 (90008730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (00244533)
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Keywords | セロリ / 香気成分 / 風味増強効果 / フタライド / チキンブロス / 煮熟セロリ / 定量的記述分析 / GC-MS-Sniffing |
Research Abstract |
匂いと味が一体となった感覚を経験的に風味と呼んでいるが、本研究では匂いによる味質増強効果を科学的に検証する方法を確立するとともに、実際の調理における風味向上に寄与する匂い成分の探索及びその作用メカニズムを明らかにすることを目的とする。"こく"などの風味が重要視されるスープに注目し、チキンブロス調製の際、チキンだけでなくセロリや他の野菜類を加えることにより風味が増強されるのか、増強された場合、匂いあるいは味成分のいずれによるのかを定量的記述分析法を用いた官能評価により検証した。パネリストの話し合いにより評価用語として、複雑な風味を表す7語に、油、肉の臭みがない、味知覚を表す3語および総合評価を加えた計12種を決定した。チキンだけのブロスに、セロリまたはキャベツなど3種の野菜より調製した揮発性または不揮発性画分を加えた結果、不揮発性画分では総合評価においても風味上昇が認められなかったのに対し、揮発性画分を加えると、野菜、セロリいずれも顕著な風味増強が認められ、特にセロリの添加効果が大きいことを確認した。セロリの匂い成分について、GC-MS-Sniffingを用いて精査した。生、煮熟セロリ共通成分として、3-ブチルフタライド、セダノライド、セダネノライドのフタライド類、生セロリ香気成分として(Z)-3-ヘキセナールや(Z)-3-ヘキセノール、煮熟香気成分としてソトロン、β-ダマセノン、β-ヨノンなどを含む計13成分を主要香気寄与成分として同定した。中でもフタライドの寄与が大きいことを確認し、HPLC分取によるセロリリーフオイルからの精製や合成物のフタライドを用いて、チキンブロス風味増強効果を調べた。フタライド類には、ごく希薄濃度で風味増強効果が認められ、さらにその効果には構造による差異があることを確認した。さらに立体構造を含め精査中である。
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Research Products
(1 results)