2005 Fiscal Year Annual Research Report
食品咀嚼香発生および感性工学手法による咀嚼香知覚のメカニズム解析
Project/Area Number |
17300239
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小竹 佐知子 日本獣医畜産大学, 応用生命科学部, 助教授 (60233540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久澤 良造 日本獣医畜産大学, 応用生命科学部, 教授 (40147864)
島村 智子 日本獣医畜産大学, 応用生命科学部, 助手 (50350179)
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Keywords | 食品 / 放散香気 / 咀噛 / 牛乳 / 肉製品 |
Research Abstract |
食品を口に含んでいる際に口腔から鼻腔へと抜ける香気(レトロネーザルアロマ)の放散現象を把握する為、スクリュープランジャーを使った口腔モデルシステムを用いて液体状食品試料(A牛乳)および固形状食品試料(B肉類)について実験を行なった。 〔A液体状食品試料の場合〕脱脂乳および全乳(乳脂肪3.75%)からの香気放散について検討した。スクリュープランジャー運動を行なう場合(これをレトロネーザル香放散とした)と、スクリュープランジャー運動を行なわない場合(これを鼻孔から嗅ぐオルトネーザル香放散とした)とでは、放散香気量は大きく異なった。すなわち、スクリュープランジャー運動は、ジアセチル、2-ヘプタノンの両香気に対して、脱脂乳および全乳からの香気放散量を増加させた。スクリュープランジャーを用いなかった場合は、ジアセチルの放散量は乳脂肪に影響を受けなかった。スクリュープランジャーを用いた場合には、乳脂肪含量が増加すると放散量も増加した。2-ヘプタノンでは、スクリュープランジャーを用いた場合でも用いなかった場合でも、乳脂肪含量が増すと放散量は減少した。香気放散量に対する乳脂肪含量の影響は香気成分の新油性度合によって解釈することができ、親水性香気成分では物質移動もまた放散に寄与する要因であった。(Food Science and Technology, Res.投稿中) 〔B固形状食品試料の場合〕和牛(松阪牛ロース、佐賀牛ロース)・輸入牛(豪州産アンガス牛ロース)からの香気放散について検討した。固形状食品試料の場合は、液体状食品試料とは異なり、模擬咀嚼によって食品にかかる圧力が、食品の咀嚼状態を大きく左右する。スクリュープランジャーによる模擬咀嚼動作を加えた場合の、試料肉にかかる圧力はいずれの試料においても0.2Nであった。実際の人パネル(25名)が咀嚼した際に発生する咀嚼圧値が0.1N〜12Nに分布したことから、口腔咀嚼モデル器のスクリュープランジャーによる模擬咀嚼は、低い領域の咀嚼圧値を再現しているものであることが認められた。今後は、より幅広い咀嚼圧力を再現することができる口腔咀嚼モデル器を開発することが、本研究の遂行に有用であると考えられた。放散香気は、和牛では霜降り状の脂肪由来であるヘキサナール(草臭)放散量が輸入牛からのものに比べて有意に多く、また、甘い果実様を呈するラクトン類の放散量も和牛においてのみ認められた。
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