Research Abstract |
コンピュータやインターネットの普及に伴い,多種多様の教育支援システムが数多く開発されている。一般に,これら教育支援システムは,プログラムコードや教育に関する様々な情報(例えば,教材,授業プロセス,学習状況,ポートフォリオなど:以下,教育データ)を共有・再利用することを考慮せずに,各支援目標に最適な設計仕様に基づいて開発されている。教育データは様々な観点から利活用できる反面,システムは予め定められた固有の動作しかできないために,教育データとプログラムコードを共有・再利用できないのが現状である。そのため,有用な教育データが活用されずに破棄され,一方では同じ機能のプログラムコードを個別に開発するといった無駄が生じている。本研究では,この問題解決を図り,教育データおよび教育支援プログラムコードの共有・再利用の促進を目的とした。 目的達成のために,今年度は特に,e-Learning上での学習者プロセスに着目して,学習者の活動を抽出,形式化した。形式化では,オートマトン理論を応用した状態遷移図を提案し,学習状態,学習者のアクションをもとに学習状態を遷移するモデルを提案した。さらにはその形式化をもとに動作するe-Learningシステムを実現するため,拡張SCORM記述法を提案し,SCORM準拠の処理系で動作させるプロトタイプシステムの実装を行った。その環境上での授業実践およびシステム評価を通し,学習者の活動の形式化の有効性を議論した。
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