2006 Fiscal Year Annual Research Report
平等院及び浄瑠璃寺阿弥陀像を中心に3Dデジタルデータによる定朝様式の比較研究
Project/Area Number |
17300288
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
薮内 直樹 (薮内 佐斗司) 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10376931)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 政満 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 教授 (50135183)
矢野 健一郎 東京芸術大学, 美術学部, 非常勤講師 (60401486)
武笠 朗 実践女子大学, 文学部, 教授 (30219844)
副島 弘道 大正大学, 文学部, 教授 (20216576)
高宮 洋子 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 非常勤講師 (10334492)
|
Keywords | 美学 / 文化財 / 彫刻 / 保存 / 3D / 仏像 |
Research Abstract |
本研究は、3Dレーザースキャニング計測(以下3D計測)を中心に、定朝様式の展開解明を目的とし、それに付随して文化財保護においても史料的価値・文化財修復等への高い貢献が考えられるものである。 本年度においては、前年度に引き続き史料集積をおこなうとともに、関東地方へ伝播した定朝様式の阿弥陀如来坐像の解明を進めた。 まず、史料集積に関して、藤末鎌初期を中心とした定朝様式の展開と比較の対象として、阿弥陀如来立像(東大寺俊乗堂所蔵)並びに大日如来坐像(円成寺所蔵)を、また関東地方への様式伝播解明の一環として、地蔵菩薩坐像(瑞林寺所蔵)、阿弥陀如来坐像(恵妙寺所蔵)、阿弥陀如来立像(小西大閑堂所蔵)並びに修復後の阿弥陀如来坐像(茨城県西念寺所蔵)の計測を行った。 次に、関東地方へ伝播した定朝様式の解明にあたり、上記西念寺阿弥陀如来坐像の修復に伴い、修復前後並びに解体時の3D計測を行った。本像は、後世の補修により当初の姿が覆い隠されていたが、修復を通して当初部材と後補部材が明らかとなった。これらの計測データから現存する後補部を除外した当初部材のデータのみを抽出した3D画像を活用し、定朝様式の特徴を検証した。造形面から、鎌倉時代の慶派仏と比較し、衣文の薄さ、胸板の薄さ等の定朝様式の特徴が挙げられ、本像が平安後期に常陸配流された京都仏師圓春との関連性が推察される。 そのほか、史料集積として本年度3D計測した聖観音菩薩立像(醍醐寺所蔵)、阿弥陀如来坐像(円成寺所蔵)、並びに前年度に計測した像の計測データについては、東京芸術大学大学院美術研究科文化財保存学保存修復研究室の修士および博士課程の課題研究である模刻制作研究で活用し、現在も更なる3D計測データの利用の可能性についての試みが行われている。 来年度は本研究の最終年度となる為、上の結果を基に定朝様式の総合的な展開解明に関した研究を結実させる予定である。
|
Research Products
(1 results)