2007 Fiscal Year Annual Research Report
平等院及び浄瑠璃寺阿弥陀像を中心に3Dデジタルデータによる定朝様式の比較研究
Project/Area Number |
17300288
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Research Institution | Tokyo University oft the Arts |
Principal Investigator |
薮内 直樹 (薮内 佐斗司) Tokyo National University of Fine Arts and Music, 大学院・美術研究科, 教授 (10376931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 政満 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 教授 (50135183)
矢野 健一郎 東京芸術大学, 美術学部, 非常勤講師 (60401486)
副島 弘道 大正大学, 文学部, 教授 (20216576)
武笠 朗 実践女子大学, 文学部, 教授 (30219844)
高宮 洋子 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 非常勤講師 (10334492)
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Keywords | 美学 / 文化財 / 彫刻 / 保存 / 3D / 仏像 |
Research Abstract |
本年度は、これまで集積した藤末鎌初の坐像の精密な三次元計測データを基に、正中断面による頭体の傾きや面長・面幅と像高・体幹部幅の比率、頭部の特定位置における輪切り断面にみられる面の取り方の比較など、定朝様式から鎌倉期にかけての時代的特質や作家の特徴などを検証した。 さらには、定朝作の平等院蔵阿弥陀如来坐像(定朝作)を主軸に、安楽寿院蔵阿弥陀如来坐像、浄瑠璃寺蔵九体阿弥陀像、日野法界寺阿弥陀如来坐像などの定朝様式像、そして瑞林寺地蔵菩薩坐像(康慶作)、浄瑠璃寺灌頂堂大日如来坐像、東京芸術大学蔵大日如来坐像(快慶作)、円成寺蔵大日如来坐像(運慶作)、石山寺大日如来坐像(快慶作)などの慶派の坐像を、定朝様式・慶派の様式の法則に当てはめて、実際との異同を検証した。 具体的には、1)髪際高・白毫高=膝張り、2)髪際高の一定比率(1/5または1/6)を「ひとつ」とする、3)「ひとつ」の二倍が頭体幹部の幅、4)膝張りの一定比率(1/5または1/6)が膝の高さ、5)髪際〜鼻下=耳張りの半分=両肩材の厚み、6)像高との比率関係、また耳のかたちや、横顔のライン、錐点、像底の形状など、作家の個性や様式特徴が表れる部位の比較を行った。 また、茨城県文化財保護審議委員後藤道雄氏(本研究協力者)とともに調査およびデータ集積した同県下の定朝様式とされる仏像群や慶派の様式を汲むものについても、上記検証方法を用いて、これまで三次元計測を行った在銘彫刻群を基準作例と比較し、時代の「作風」というものを科学的に、体系的に解明した。
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