2006 Fiscal Year Annual Research Report
最先端の質量分析技術を用いた人為起源有機エアロゾルの生成過程の研究
Project/Area Number |
17310006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹川 暢之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (00324369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
駒崎 雄一 (独)海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, サブリーダー (80286640)
小池 真 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (00225343)
宮崎 雄三 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (60376655)
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Keywords | 環境分析 / 都市大気 / 有機エアロゾル / 質量分析計 / 低分子ジカルボン酸 / 二次生成 |
Research Abstract |
1.実験室における有機化合物の質量スペクトルの分析 水溶性有機エアロゾルの重要な成分である低分子ジカルボン酸について、実験室において質量スペクトルを詳細に調べた。主に、シュウ酸(C_2)、マロン酸(C_3)、コハク酸(C_4)、フタル酸(C_8)について調べた。一方、フィルター捕集-GC分析法により、実大気中の低分子ジカルボン酸の濃度を測定した。これらのデータを組み合わせることにより、実大気におけるエアロゾル質量分析計(AMS)の質量スペクトルに対する低分子ジカルボン酸の寄与を定量的に評価した。 2.実大気中における有機エアロゾル混合状態等の測定 微分型モビリティ分級器(DMA)とAMSをタンデム(直列)に接続することにより、有機エアロゾルと無機エアロゾルが同一粒子中に混在しているか(内部混合)、または別の粒子として存在しているか(外部混合)を調べた。夏季・冬季に観測を行ったケースでは、有機エアロゾルのうち含酸素有機化合物は硫酸エアロゾルと内部混合していた。一方、炭化水素類は光化学プロセスの進行に応じて硫酸エアロゾルとの混合状態が変化することがわかった。 3.東京における人為起源有機エアロゾルの濃度変動とその生成過程の解明 燃焼空気のトレーサーであるCOを用いて、AMSデータから一次有機エアロゾル(POA)と二次有機エアロゾル(SOA)を分類する方法を考案した。東京都心におけるPOAとSOAの日変動・季節変動を明らかにするとともに、SOAの大部分が水溶性であることを示した。また、東京郊外で得られたデータから、汚染空気の輸送過程におけるSOA生成速度を推定した。その結果、半日程度で有機エアロゾル濃度は4-5倍になりうることを明らかにした。世界的に広く用いられる収率モデルはこのSOA生成速度を大幅に過小評価しており、現状のSOA生成過程の理解に大きな不確定性があることを示した。
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Research Products
(7 results)