2007 Fiscal Year Annual Research Report
中部山岳地域における水循環および物質循環過程の研究
Project/Area Number |
17310007
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 啓助 Shinshu University, 理学部, 教授 (60145662)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 任重 信州大学, 理学部, 教授 (60291382)
|
Keywords | 中部山岳地域 / 降雪 / 積雪 / 湿性沈着 / 乾性沈着 / 人為起源物質 / 海塩起源物質 / 黄砂 |
Research Abstract |
重点調査対象流域として、犀川水系梓川流域の前川(北アルプス:乗鞍岳源流域)に必要な観測機器を設置し、時間分解能が高く長期間にわたる水・物質循環過程を研究している。これまで、気象・水文・雪氷観測により水収支を明らかにし、降水、土壌水、地下水、河川水の継続的な採取・分析により水・物質循環過程を明らかにしている。降水としては、林外降水のみならず林内降水も採取し、雨については樹幹流も採取している。その結果、降水量の標高効果を加味することにより、水収支は概ねバランスすることを明らかにし、物質収支としては、C1^-イオンはバランスするが、NO_3^-イオンは流域内での内部循環に使われる部分があり、SO_4^<2->イオンや陽イオンについては大きな流出超過であることが明らかになった。SO_4^<2->イオンの流出超過については、火山と温泉の影響が示唆された。 冬期間には、高山域において積雪表層から地表面までの全層採取を3センチメートルの厚さごとに行い、化学分析を行っている。乗鞍高原においては、定期的に積雪断面観測調査を行い層位ごとの時間変化をとらえることをめざし、中央アルプスにおいては、東西に横断する測線で積雪断面観測調査を行い、積雪水量の比較やイオンの沈着量の差異について検討している。これまでに、積雪水量が森林限界の上下で大きく異なることを明らかにし、森林限界よりの高い標高では、西側斜面から東側斜面への風による雪の再配置がなされている可能性を指摘することができた。
|