Research Abstract |
今年度は,露の乾燥に伴う溶存物質の変化の研究で,まず,発生するアンモニアガスの測定法の確立を目指した。平成17年度に研究分担者として新規に加わった定永の協力を得て研究を行ない,その結果,0.1ppbのアンモニアを連続して測定できる方法を確立することができた。現在論文の作成中である。また,露の乾燥実験では,発生する窒素の定量を試みた。しかし,アルゴン気流中で乾燥を行なったにも関わらず,バックグランドとして比較的高濃度の窒素が検出され,露の乾燥から発生する微量の窒素の定量には至らなかった。また,NOやNO_2は市販の質素酸化物測定装置でも十分測定することができることがわかった。発生するHONOに関しては,従来開発した方法により容易に測定を行なうことができ,さらに平成18年度はアンモニアの測定も行なう予定である。また,今年度は,自然に生成した露を乾燥させて,その結果発生する気体や残存する塩が,人工的に作製した水滴と同じ傾向にあるかどうかを調べた。その結果,大体の傾向は人工露と同じであるが,全く異なった傾向を示す場合もあることがわかった。平成18年度も同様の実験を行なう予定で,どのような場合に違った結果となるか,その原因について明らかにしていきたい。研究分担者の坂東は,露の乾燥が実環境にどのように影響を与えるかの評価をCBM-IVというボックスモデルを使ったシミュレーションにより行なった。その結果,露が生成した場合は生成しない場合に比べ日中のオゾン濃度が約10ppb低くなることがわかった。また,露が生成した場合でも,露の成分や乾燥速度により,窒素になったり,HONOを放出したりするが,HONOを生成する場合は,窒素を生成する場合に比べ,数ppb高くなることも明らかとなった。今後もさらに詳細な検討を行なう予定である。また,この研究と平行して露に亜硝酸やアンモニアがどのようにとけ込むのかを調べた。その結果,大気中のHONOやNH_3が,露の生成とともに減少し,乾燥とともに増加する傾向があることがわかった。
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