2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物起源炭化水素の大気酸化機構がエアロゾル生成能や雲凝縮核特性に及ぼす影響
Project/Area Number |
17310014
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
今村 隆史 独立行政法人国立環境研究所, 成層圏オゾン層変動研究プロジェクト, プロジェクトリーダー (60184826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪俣 敏 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (80270586)
佐藤 圭 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 主任研究員 (10282815)
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Keywords | 有機エアロゾル / 大気酸化反応 / 植物起源炭化水素 / エアロゾル生成能 / 雲凝縮核 |
Research Abstract |
大気への放出量が最も多い植物起源炭化水素であるイソプレンを対象に、イソプレンの大気酸化反応における有機エアロゾル生成を光化学反応チャンバー(国立環境研に設置)を用いて調べた。イソプレンのNOx存在下での光酸化反応系では、エアロゾル生成収率(φ=Δ[aerosol]/Δ[ISP]、Δ[ISP]=[isoprene]_0-[isoprene]_t)は0.1-0.2%程度と低いもののエアロゾルが生成する事、およびエアロゾルの生成は常に光化学オゾン生成後に観測される事が分かった。エアロゾル生成量に対するイソプレン初期濃度依存性、NOx初期濃度依存性の実験結果からは、イソプレン消費量(Δ[ISP])に対するエアロゾル生成量は、イソプレン初期濃度には顕著には依存しないものの、NOx初期濃度が増大するに従って増加(@80%近いイソプレンが消失した段階)する事を見出した。一方イソプレンのオゾン酸化反応における有機エアロゾル生成を調べた結果、NOx光酸化反応系に比べ比較的短い誘導期の後エアロゾルが生成する事が見出された。また、O3+オレフィン反応系での二次的なOHラジカル生成の寄与がエアロゾル生成量を検討した結果、OHが無い(少ない)ときはほとんどエアロゾルが生成しないことがわかった。この結果は、エアロゾル生成をもたらす代表的なO3+オレフィン反応であるシクロヘキセンの反応系とは異なった結果である事が分かった。この事からイソプレンでは二段階以上の酸化反応を経由してエアロゾルが生成することが示唆された。
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Research Products
(2 results)