Research Abstract |
本年度は,シラス地域において50m深の観測井の水位および空気流量を測定,大規模崩壊が発生した現地(宝川内および針原)における水位および空気流量の観測を継続した。また,熊本県八代市の調査地域においても,既存の地下水井からの空気の流出を測定した。その結果,宝川内においては降雨後空気の流出が認められたのに対し,シラス地域においては,空気の流出は少なかった。これに対し,熊本県八代市の調査においては,18年7月の豪雨により,降雨のピーク時において,空気の流出が多量に認められた。また,空気の流出のピークの頃,深層のテンシオメータが急激に反応し,空気の流出が止まったときには,テンシオメータの値が低下した。このことから,岩盤内の空気流出が,地下水リッジングを形成し,降雨時の急激な流出を引き起こしていることを示唆する重要な結果が得られた。以上の現地観測結果を基に,本年度は,防災科学研究所において,崩壊実験を行った.幅1.5m長さ8m,角度30度の実験土層を作成し,人工降雨を与え,流出量が一定になった後,斜面下部からコンプレッサーで空気を注入した.その結果,空気注入時に斜面下部で崩壊が発生した.崩壊発生メカニズムは,空気圧により不飽和土が正圧化し斜面が不安定になったものと考えられた.
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