Research Abstract |
白神山地暗門地区(青森県西目屋村)を対象として,エコツーリズム利用客に対するアンケート調査,ガイドに対する聞き取り調査を実施し,エコツーリズムの現状と課題を明らかにした。その結果,個人客の方がツアー客より満足度,地域への経済的貢献が高いことが判明した。またガイドは提供できるガイドの内容に不満をもってはいるものの,単位時間当たりの経済的効率性から,ツアー客を中心として集客を行っていたことも明らかになった。 また白神山地十二湖(青森県深浦町)で展開される観光業が地域,環境に及ぼす影響を把握するために,アンケート調査を実施しところ,十二湖を訪問客による深浦町内での観光消費額(年間約6億円),レク価値(年間約8.6億円)であることが推定された。コンジョイント分析から,観光客は観光客の多数は,『混雑時のみ入場制限』を望んでいた。なお白神山地における研究成果の一部は,第1回アジア公園研究シンポジウムで発表した。 屋久島での成果については,2007年6月に米国ユタ州で開催されたlnternational Symposiumon Societyand Resource Management(ISSRM)で発表した。 知床半島については,斜里町と羅臼町との産業構造が異なるなかで,知床財団が自然遺産の管理にどのような役割を果たしているかを明らかにした。知床財団は他の遺産地域と異なり,そこに永続的に存在していることで,管理上の知見や情報が集約され,効果的な管理を実現していることが判明した。またエコツーリズム推進事業についても,環境経済学的手法を使い,その事業の意義と方向性についても評価した。 ニュージーランドについては,当該地域(トンガリロ国立公園)におけるワイタンギ審判所が係争中であったため,前年得られた知見について,ウェブや文献を中心に資料を収集した。 以上の結果を踏まえ,北海道大学で会合を開催し,今後の管理のあり方を総括した。
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