2007 Fiscal Year Annual Research Report
黒潮圏島嶼沿岸域の藻場の消長と人為的インパクトの社会制御
Project/Area Number |
17310026
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
諸岡 慶昇 Kochi University, 大学院・黒潮圏海洋科学研究科, 教授 (20380305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正征 高知大学, 大学院・ 黒潮圏海洋科学研究科, 教授 (50111357)
山岡 耕作 高知大学, 大学院・ 黒潮圏海洋科学研究科, 教授 (20200587)
奥田 一雄 高知大学, 大学院・ 黒潮圏海洋科学研究科, 教授 (40152417)
飯国 芳明 高知大学, 大学院・ 黒潮圏海洋科学研究科, 教授 (40184337)
新保 輝幸 高知大学, 大学院・ 黒潮圏海洋科学研究科, 准教授 (60274354)
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Keywords | 海洋保全 / 藻場 / 海洋資源 / 海洋保護区(MPA) / 海洋基本法 / 人為的インパクト / 黒潮 / 黒潮圏 |
Research Abstract |
1)当課題の最終年度として、生物・生態班では、本課題の主題である黒潮沿岸域の藻場の現況調査を継続し実施した。高知沿岸では竜串海岸を中心に西部の沿線に点在する藻場の潜水調査を行い、ホンダワラ類の過去30年余りの観察結果から、熱帯・亜熱帯種に代替される過程を明らかにした。また、採集した標本種の同定とともに、近年の海の温暖化に伴う海藻・海草の遷移及び魚類の変化の態様を解析した。さらに熱帯・亜熱帯海域では、緑藻のイワヅタ目とカサノリ目とともに、ミドリゲ目に属する多核緑藻が多数種分布すること、採集されたミドリゲ目緑藻の中で、とくにバロニア科に属する多核緑藻数種に未記載種が見いだされたこと、うち数種は未解明の特異な細胞学的特性を示すこと等を明らかにした。 2)社会科学班では、黒潮沿岸各国の海洋政策を整理し、高知・台東・南北両ルソンの調査地(海洋保護区:MPA)での人為的インパクトの現況及び対応方途をめぐるMPA地域住民の合意形成過程を比較考察し、課題と対応方途を解析し整理した。平成19年はわが国で海洋基本法が制定された初年度に当たるところから、近隣諸国の海洋政策を同基本法と比較した近隣諸国の海洋観や、具体的な対応策に見られる差異を考察した。また、海洋保護区(MPA)での施策と地域住民の社会経済的現況を比較検証し、今後の課題を明らかにした。 3)土壌班では、北部ルソン山間畑地の土壌浸食調査を行い現況を把握したが、河川(カガヤン川)を介した河岸部との因果関係の解明に課題を残した。 4)現地の機関と一体的に取り組んだ調査研究結果は、平成19年11月21〜23日に高知大学で開催した日台比3ケ国合同ワークショップで報告・討議し、成果を『黒潮圏科学』第2巻第1号に特集「黒潮海域における藻場環境の最近の変化」(英文:論文11編)で公表した。なお、本科研費の支援下で、高知大学と台湾・フィリピンの拠点大学を結ぶ学術協定が締結され、連携ネットワークが形成された。
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Research Products
(27 results)