2006 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝(貝リンガル、貝メタボローム)を用いた沿岸生態系の影響評価
Project/Area Number |
17310027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本城 凡夫 九州大学, 農学研究院, 教授 (80284553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬川 進 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (30092589)
大嶋 雄治 九州大学, 農学研究院, 助教授 (70176874)
島崎 洋平 九州大学, 農学研究院, 助手 (40363329)
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Keywords | 貝リンガル / 貝メタボローム / 二枚貝 / 環境影響 |
Research Abstract |
平成18年度は、タイラギに硫化水素を暴露して、タイラギの貧酸素に対する耐性を嫌気呼吸代謝物である有機酸(乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、フマル酸およびコハク酸)の濃度変化で調べると共に、その殻開閉運動を貝リンガル(東京測器製)で調べた。その結果、硫化水素暴露区におけるコハク酸濃度(1.65±0.68Fmol/g)は貧酸素暴露区(0.85μmol/g)より高かった。しかし、硫化水素暴露後の翌日にもう一度硫化水素暴露を行った区では0.25μmol/gと嫌気条件下であるにもかかわらずコハク酸の濃度が低かった。このように、タイラギ閉殻筋のコハク酸濃度は前の硫化水素暴露の影響を受けることが示唆された。さらに、硫化水素暴露の翌日に貧酸素暴露を行った区(1.03μmol/g)と硫化水素暴露の翌日も硫化水素暴露を行い1週間後に貧酸素暴露を行った区(1.11μmol/g)のコハク酸濃度は貧酸素暴露区(0.85μmol/g)と有意な差がないことから、硫化水素暴露の影響は翌週の嫌気呼吸までは影響を及ぼさないと考えられた。また、高濃度の硫化水素(6.75mgS/L)を暴露しても6時間ではタイラギは死にいたらないことも判明した。以上の結果から、硫化水素の暴露によって翌日の嫌気代謝に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆された。また、タイラギの開閉運動は、好気条件では素早い開閉運動を断続的に行っていたが、貧酸素条件では緩慢な開殻運動へ質的に変化していた。 アサリに低塩分海水および有害プランクトンを暴露してその開閉運動を調べた。その結果、一定の速度で塩分を低下させた場合、塩分低下の速度に係らず、20〜26%(標準偏差の範囲)付近で全ての個体が閉殻を始め、その後短時間でほぼ完全に殻を閉じた。次に、塩分を5%・まで低下させた後、塩分を上昇させると、閉殻時とほぼ同様の15〜25%(標準偏差の範囲)付近から開殻が始まり、その後全ての個体が開殻状態の通常の殻体運動に戻った。有害プランクトンに暴露した結果は現在解析中である。
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Research Products
(2 results)