Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八杉 満利子 京都産業大学, 理学部, 教授 (90022277)
上田 完次 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50031133)
北村 隆一 京都大学, 大学院・工学研究所, 教授 (60252467)
横尾 真 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (20380678)
飯田 善郎 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (50273727)
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Research Abstract |
1.資源消費における環境配慮行動の分析 本研究は,共有する環境資源の消費における意思決定を,社会的ジレンマとしてモデル化し,どのように環境配慮型の行動が創発するかを分析する.資源消費の意思決定モデルとして,環境悪化型ゲームと資源枯渇型ゲームの2種類を構築した.マルチエージェントシミュレーションでは,環境悪化型ゲームで非環境配慮型行動が多く資源が減少し続けることが示された.さらに,資源枯渇型ゲームで,資源が尽きる前に環境配慮行動が現れ,資源が維持されるという協力的な行動が観察された.一方,被験者実験の結果からは,両方のゲームにおいて資源が尽きそうになると環境配慮行動が多く見られた.以上から,被験者は資源が尽きそうな危機感によって,環境配慮行動が誘発される可能性を示唆した. 2.廃棄物回収モデルを用いたリサイクル制度の分析 本研究では,消費者,生産者,廃棄物の回収者,処理業者等の意思決定主体が構成要素である社会システムとして,使用済み製品の回収をモデル化し,理論分析や被験者実験によって,社会制度のメカニズムを明らかする.現在の家電リサイクル法や,容器包装リサイクル法を具体例として,得られた結果と比較しながら分析を進めた.結果として,家電リサイクルは理論分析上では最良の制度であるとは言えないが,被験者実験の結果,社会余剰が高くなることが示された.一方,容器包装リサイクル法では,理論・被験者実験ともに,効率が悪い制度であることが示された.特に,仲介して回収する行動主体が利益を上げにくい社会システムが形成されることが示唆され,現実問題として捉えると自治体が負担を生じやすい制度である可能性が示された.
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