2006 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫剤の尿中代謝物プロファイリングによる体内負荷量の定量と健康影響のリスク評価
Project/Area Number |
17310033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上島 通浩 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (80281070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10020794)
高木 健次 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80126870)
柴田 英治 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90206128)
山野 優子 昭和大学, 医学部, 講師 (30167580)
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Keywords | 殺虫剤 / 農薬 / 代謝物 / 生物学的モニタリング / 尿 / リスク評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は、複数の殺虫剤による混合曝露を受けた場合のリスク評価を念頭に、殺虫剤に曝露するヒト職域集団およびモデル動物で、神経系、生殖器系に関して尿中代謝物量と健康影響の量反応関係を明らかにすることである。平成18年度は、前年度に続き衛生害虫防除作業者を対象に8月(散布業務の繁忙期、n=66)、2月(閑散期,n=39)に健康調査を実施した。曝露評価として、血中コリンエステラーゼ活性とともに、作業翌日の早朝尿を用いて、有機リン代謝物であるジメチルリン酸(DMP)、ジメチルチオリン酸、ジエチルリン酸、ジエチルチオリン酸と、ピレスロイド系殺虫剤の代謝物である3-フェノキシ安息香酸(3-PBA)を測定した。DMP及び総ジアルキルリン酸(DAP)濃度は夏期に散布者で非散布者に比べ高く、尿中の8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)濃度は夏期冬期共に散布者で有意に高かった。3-PBAに関しては冬にのみ有意差をみとめた。8-OHdG濃度と尿中DHP, DAP濃度は有意に相関した。有機リン殺虫剤の代謝酵素であるパラオキソナーゼ1(PON1)遺伝子多型に関して、Q/Q、Q/R、R/Rの各多型頻度は17,39,44%であり、PON1多型と白血球及び尿中8-OHdG濃度との関連は認められなかったが、尿中DAP濃度については夏期にQアレルが減少するにつれて有意に減少した。 動物モデルによる実験としては、9週齢のWistar系雄ラット40匹を4群にわけ、ジクロルボス0,5,10mg/kg、ダイアジノン3mg/kgを週6日9週間経口投与した。尿中DAP濃度、血球及び血清コリンエステラーゼ活性、生殖器を含む臓器重量、精子運動性を測定した。ダイアジノン群で精子運動性が有意に低下し、60分後の精子アデノシン3リン酸(ATP)/アデノシン2リン酸比がジクロルボス10mg/kg投与群で有意に低下した。
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Research Products
(2 results)