2006 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギー陽子の照射による中性子の生物影響のメカニズム研究
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17310034
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50099090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 暁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (90243609)
田中 憲一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (70363075)
鬼塚 昌彦 九州大学, 医学部, 教授 (30160899)
檜枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
上原 周三 九州大学, 医学部, 教授 (90038927)
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Keywords | 陽子 / 中性子 / 生物影響 / 線量評価 / 影響のメカニズム |
Research Abstract |
中性子の生物影響はガンマ線やベータ線よりも格段に大きい。例えばRBEで10倍あるいはそれ以上とされている。この中性子の影響が考えられるケースとして、広島・長崎の原爆被爆者、東海村の事故があげられる。中性子は人体に入ると、主な成分である水の中の水素の原子核である陽子をはじき飛ばす(反跳)。この反跳陽子は電荷を持つので水分の中ではラジカルを生成し、DNAなどに2重鎖切断などの損傷を与える。陽子の反跳の全線量に対する割合は中性子のエネルギーにより異なるが70-80%である。この反跳陽子の損傷はほとんど修復されるが、その一部が修復されずに残り、それが最終的にはがんなどの障害をもたらすと考えられている。最近その2重鎖切断が中性子では近傍に集中して起こりDNAが大きく損傷し修復できないとするクラスターモデルが提案されている。このほかに中性子は原子核反応を起こし、そこから発生する粒子線、ガンマ線、ベータ線などもある。この研究の目的はこの主たる放射線である陽子の影響を広島大学にあるシェンケル型加速器を使って陽子線を放出しそれをタマネギの根の先の細胞に照射しその影響を直接見ることである。このための照射装置は完成した。今後、陽子線の平滑度を出すための装置の調整とその平滑度の確認、並行して陽子線の線量測定と実際の生物試料照射を行う予定であったが、2006年7月より中性子発生装置の使用(原医研のRI施設全体を含む)が停止された。本年3月になっても再開されるめどが立っていない。そのため、3月16日に同様の装置がある筑波大学を訪問し責任者の長島教授と笹教授と面会し、筑波大学の陽子線の加測器を使用することで了解をいただいた。装置をみて実験の詳細を打ち合わせた。線量測定には表面が薄い外挿型平行平板チェンバーを使用する。
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Research Products
(8 results)