2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による細胞内放射線応答基本因子の探策とその機能
Project/Area Number |
17310035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (10019672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 秀彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (30379846)
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Keywords | γ線 / 紫外線 / 細胞周期 / アポトーシス / p53 / 二次元電気泳動 / 質量分析装置 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
本研究では、プロテオーム解析技術を導入し、まず放射線照射された細胞内において質的、量的に変化するタンパク質をスクリーニングすることにより、放射線応答因子を分離・同定することを目的としてスタートした。昨年度に引き続き、細胞として放射線誘発アポトーシス研究に汎用されているヒトリンパ性白血病由来のJurkat細胞を用い、γ線あるいは紫外線照射後に細胞を回収してcytosol中のタンパク質を二次元電気泳動にかけ、未照射細胞の二次元電気泳動タンパク質スポットパターンと比較することにより、放射線応答タンパク質の出現の有無を調べた。その結果、γ線と紫外線に対してそれぞれ特異的に変化するスポットと両放射線に共通して反応するスポットとが存在することが分かった。これらの内、γ線と紫外線照射により変化したスポットを高感度質量分析装置を用いて調べたところ、新たにRuvB-like1やKeratin10等の5タンパク質が同定できた。興味あることに、Rho GDF dissociation inhibitor(LyGDI)とacidic ribosomal protein P0(P0)スポットは、照射後、極めて短時間の内に変化するので、放射線により誘発されたDNA損傷に反応する初期応答因子として働いている可能性が示唆された。 一方、がん抑制遺伝子産物p53は細胞周期チェックポイント制御とアポトーシス誘発の両方に関やることから、放射線応答の基本因子としての役割が示唆されているので、p53と相互作用するタンパク質を中心その機能についても解析した。その結果、p53の負の因子として知られているMDM2に加え、MDM2と類似のMDMXもMDM2を介してp53を抑制することがわかった。また、それぞれのキメラタンパク質を用いた生化学的解析から、MDMXはMDM2と複合体形成することによりE3リガーゼ活性を誘導し、p53をユビキチン化することによって分解することが示唆された。
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Research Products
(3 results)