2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による細胞内放射線応答基本因子の探策とその機能
Project/Area Number |
17310035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 文男 Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (10019672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 秀彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30379846)
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Keywords | アポトーシス / 細胞周期 / Aurora / Survivin / p53 / MDM2 / Ribosomal protein / 放射線 |
Research Abstract |
本研究では、アポトーシス誘発や細胞周期進行制御などの生物反応に密接に関連する放射線応答基本因子を同定することを目的としている。これまでの研究により、acidic ribosomal protein P2 (RpP2)やp53及び分裂期進行制御因子であるAuroraキナーゼ(Aurora-B)が放射線応答反応に関わっていることが判明したので、本研究ではこれらの因子の機能や他の因子との相互反応について解析を行った。 まず、放射線照射されたヒト白血病由来Jurkat細胞では、アポトーシス細胞が出現する段階で102位と105位のセリンが段階的に脱リン酸化を起こしたので、102位と105位がともにセリンのRpP2wt、102位と105位をセリンからアラニンに変えた脱リン酸化型RpP2SA、102位と105位をセリンからアスパラギン酸に換ええたリン酸化型RpP2SDの遺伝子を構築し、発現ベクターに組み込んでヒトHeLa細胞にトランスフェクトクした。顕微鏡下で観察したところ、RpP2SA遺伝子を取り込んだ細胞ではアポトーシス様の核変化を示したことから、放射線誘発アポトーシスにRpP2の脱リン酸化が関与していることが示唆された。次に、放射線応答因子であるp53の制御機構を調べるため、MDM2やその相同遺伝子産物であるMDMXとp53との複合体形成について調べた。その結果、MDM2とMDMXはお互いのリングフィンガードメインを介して結合し、その結果形成したMDM2とMDMXの複合体がp53の分解に主要な役割を果たしていることがわかった。さらに、Aurora-Bはアポトーシス抑制因子であるSurvivinと複合体を形成するが、SurvivinはDNA損傷修復に関係するpoly (ADP-ribose) polymerasaeとも結合することが判明した。以上の結果は、放射線応答因子がDNA損傷をトリガーとして、直接、アポトーシス誘発や細胞周期進行を制御することを示し、従来とは異なる興味深い研究成果である。
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Research Products
(5 results)