2006 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性ポリマーを用いた生物学的汚泥低減技術の開発および微生物動態解析
Project/Area Number |
17310046
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
平石 明 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40283486)
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Keywords | 生分解性ポリマー / 活性汚泥 / 汚泥減量 / 脱窒 / 脱共役 / 微生物群集構造 / ジクロロフェノール |
Research Abstract |
前年度に引き続き生物学的廃水処理プロセスにおける余剰汚泥削減を目指して、生分解性プラスチック利用脱窒活性促進、および脱共役剤添加の影響を検討した。前年度において、人工下水活性汚泥槽に生分解性プラスチックの一つであるPHBVを添加した際に、PHBVを投入しないものに比べて脱窒活性が上昇し、かつ30%の汚泥減少が起こることを認めた。そこで、本年度ではPHBV添加脱窒系における脱窒細菌を分離するとともに系内の脱窒遺伝子について調べた。その結果、ベータプロテオバクテリア、コマモナス科に属する脱窒細菌が多く分離され、これらの系統の細菌が優占していることが示唆された。系内の脱窒酵素遺伝子nirSおよびnosZ遺伝子のクローンライブラリー解析を行った結果、やはりベータプロテオバクテリアが優占していることが認められたが、分離脱窒菌のそれらとは必ずしも一致しなかった。前年度では、脱共役剤として3,5-ジクロロフェノール(3,5-DCP)が最も汚泥削減に効果があることを認め、かつこれが低ガラス転移温度を有するPHBV, PCL, PBSに吸着されることを報告した。そこで、本年度では、3,5-DCP吸着PHBVを純粋培養した大腸菌および枯草菌に与えて増殖への影響を調べた。その結果、3,5-DCP吸着PHBVは両菌の増殖にほとんど影響がないことが判明した。そこで、遊離の3,5-DCPを培養時に加え、さらにその後PHBVを添加したところ、3,5-DCP添加後では増殖が抑えられたものの、PHBV添加後数時間経過して再び増殖が起こることがわかった。この結果は、遊離の脱共役剤のみが余剰汚泥削減に効果があること、そして、PHBVの添加によって汚泥増殖の制御と3,5-DCPの系外への漏出防止を期待できることを示唆している。
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Research Products
(2 results)